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スーパーアニュエーションの返金DASP:ワーホリは税率65%、帰国前に何を済ませる?

Tips · 2026-10-22 · 9 min read

荷造り中のスーツケースを背に、朝日の入るキッチンで書類とノートパソコンを見比べる日本人女性。

オーストラリアで働くと、給与とは別に、雇用主があなたのスーパーアニュエーション(superannuation、退職年金の積立。以下「スーパー」)を基金に払い込みます。一時的なビザで働いた人は、ビザが失効して出国したあとに、このお金をDASP(Departing Australia Superannuation Payment)として請求できる場合があります。請求は出国後にしかできませんが、オーストラリア税務署(Australian Taxation Office, ATO)は、出国前に準備と申請を始めておくよう強くすすめています。ワーホリで積み立てた分には65%の税金がかかることも、先に知っておきましょう。

スーパーアニュエーションとは:給与明細で毎回見ておきたいお金

スーパーは、雇用主が給与とは別に、従業員の基金へ払い込む退職年金の積立です。日本年金機構は、この仕組みを「退職年金保障制度」(superannuation guarantee)と呼んでいます。

ATOが公表している一般的な拠出率は、2026年7月1日から2027年6月30日までの期間で12.00%です。内務省(Department of Home Affairs)も、ワーキングホリデービザ(サブクラス417)で働く人について、一定の額を超えて稼げば雇用主が基金にスーパーを払い込む必要があり、オーストラリアを出るときにスーパーを受け取れると案内しています。

オーストラリアでは、給与はふつう銀行口座に振り込まれ、収入、差し引かれた税金、スーパーの拠出額が載った給与明細(pay slip)が渡されます。メルボルンのベーカー(Baker)の求人のように早朝から働く仕事でも、パースの塗装チームリーダー(Painter & Decorator Team Leader)の求人のように現場が変わる仕事でも、明細のスーパーの欄は毎回目を通しておきましょう。週末や夜のシフトの賃金の見方は、Talynxの英語記事(割増賃金の解説)も参考になります。

いくつかの職場で働いた人は、スーパーの口座が1つとは限りません。ATOも、複数の雇用主のもとで働いた場合は口座が複数あるかもしれないと案内しています。

DASPを請求できるのはどんな人?4つの条件

ATOは、DASPのページで、次の条件をすべて満たす人が請求できると説明しています。

  • スーパーが、一時的な在留資格のビザ(temporary resident visa)で働いていた間に積み立てられたものであること(サブクラス405と410は対象外)
  • そのビザがすでに失効していること
  • オーストラリアを出国していて、ほかに有効なオーストラリアのビザを持っていないこと
  • オーストラリアやニュージーランドの市民でも、永住者でもないこと

ワーホリで働いた分は、内務省も出国時にスーパーを受け取れると案内しています。就労ビザなど、ほかのビザで働いた分が当てはまるかは、上のATOのページで自分のビザを確かめてください。

注意したいのは「ビザが失効していること」です。ワーキングホリデービザは有効な間なら何度でも出入国できるので、一時帰国の段階ではまだ条件を満たしません。

税率の早見表:ワーホリで積み立てた分は65%

DASPとして受け取るお金からは、税金が差し引かれます。2017年7月1日から使われている税率は、ATOのスーパーからの支払いの税率のページで確かめられます。

スーパーの区分DASPの税率
非課税部分(tax-free component)かからない
課税済みの部分(taxed element)35%
未課税の部分(untaxed element)45%
ワーキングホリデーメーカーの分(課税済み・未課税とも)65%

ワーホリの分は65%が差し引かれるので、手元に残るのはその残りの35%です。それでも、請求しなければお金はやがてATOに移されてしまいます。自分のスーパーがどの区分に当たるかは、加入している基金に問い合わせてみましょう。

帰国前にやっておきたい6つの準備

出国してからでは手間が増えることがあります。オーストラリアにいるうちに、次の順番で進めておくと安心です。

  1. 給与明細でスーパーを確かめる。最後の給与の分まで払い込まれているか、申請の前に雇用主に確認するようATOもすすめています。
  2. 口座をすべて洗い出す。職場を変えた人は、基金ごとに口座が分かれていることがあります。
  3. 残高が$5,000以上なら、本人確認書類の認証コピーを用意する。基金から求められることがあり、ATOは、オーストラリアにいるうちに認証を済ませるほうがずっと楽だとしています。
  4. DASPのオンライン申請を始めて保存する。ATOのオンライン申請システムは無料で使え、オーストラリアにいる間に申請を始めて保存しておけます。在留資格は内務省の情報で自動的に確認されます。
  5. 出国とビザの失効を待って提出する。出国してビザが失効したら、保存しておいた申請を仕上げて出します。
  6. 受け取り方を決めておく。支払いはオーストラリアの銀行口座への振込か、基金に申請する場合で基金が対応していれば海外送金です。口座を解約する前に、どちらにするかを考えておきましょう。

申請しないとどうなる?出国から6か月後の流れ

帰国後に忘れてしまっても、お金が消えるわけではありません。ただ、時間がたつほど手続きの相手が変わります。

時期スーパーがある場所できること
オーストラリアで働いている間雇用主が払い込む基金給与明細で確認し、DASPの申請を始めて保存する
出国し、ビザが失効したあと加入している基金DASPを申請する(通常28日以内に支払い)
出国から6か月以上たち、ビザも失効している未請求のお金(unclaimed super money)としてATOへ移るATOが持つスーパーもDASPとして請求できる

ATOは、出国後に申請を始めるのは難しいことがあるとしています。帰国の準備で忙しくなる前に、オンライン申請の保存までは済ませておきたいところです。

日本の年金とスーパーの関係

日本とオーストラリアの間には「日・豪社会保障協定」があり、2009年1月1日に発効しました。日本年金機構のオーストラリアとの協定のページでは、日本の年金の加入期間と通算されるのはオーストラリアの社会保障制度だけで、それも老齢給付に限られ、スーパーは通算の対象ではないと説明されています。スーパーの期間を日本の年金の期間に足すことはできないので、スーパーはスーパーとして手続きが必要です。

日本年金機構は、協定のある国で現地採用された人は、その国の社会保障制度だけに加入するとしています。オーストラリアの雇用主に直接雇われて働く人は、この点も押さえておきましょう。

日本を出るときの国民年金も見ておきたいところです。杉並区は、国民年金の第1号被保険者が海外転出の届出をすると、加入の義務がなくなると案内しています。海外に住んでいた期間は「合算対象期間」(いわゆるカラ期間)として受給資格の期間には数えられますが、年金額には反映されません。年金額を増やしたい人には、海外にいる間も国民年金に入れる「在外任意加入」があり、大田区の案内では20歳以上65歳未満などの条件があります。

またオーストラリアで働きたい人へ:DASPとこれからのビザ

ATOは、DASPを請求しても今後のビザ申請には影響しないとしています。ワーホリのあとに、雇用主がスポンサーになる就労ビザで戻りたい人も、条件を満たしていれば受け取りをためらう必要はありません。

ただ、2年目や3年目のワーホリを考えている人は、ビザが有効な間はDASPを請求できない点に気をつけましょう。延長の仕組みはワーホリ延長の抽選についての記事や、農場の仕事と収穫期のビザ対策の記事で整理しています。いつ請求するかを決める前に読んでおくと、予定を立てやすくなります。

スポンサー付きの就労ビザで戻る道を考えるなら、Skills in Demand ビザ(サブクラス482)のガイドと482ビザの申請料と予算の記事が出発点になります。現地での職歴は、給与明細や雇用主の書類と一緒に整理しておくと、次の応募で説明しやすくなります。任意ですが、Talent Tabloidの認証済みプロフィールがあれば、雇用主があなたの経験を確かめやすくなり、応募が目にとまる助けになることもあります。ブリスベンのシェフ(Chef)の求人のような募集もJobsAbroad Japanで探せます。応募は無料です。

よくある間違いと避け方

  • オーストラリアにいるうちに受け取れると思っている。DASPは出国後でなければ請求できません。在豪中にできるのは、申請を始めて保存するところまでです。
  • 何もしないまま帰国してしまう。出国後に申請を始めるのは難しいことがあります。残高が$5,000以上の人の認証コピーも、オーストラリアにいるうちのほうがずっと楽です。
  • 2つ目の口座を忘れる。職場を変えた人は、口座が複数あるかもしれません。前の職場の給与明細も見直しましょう。
  • 最後の給与の分を確かめない。申請の前に、拠出がすべて払い込まれているかを雇用主に確認しておきましょう。
  • 受け取るとビザに響くと思い込む。ATOは、DASPの請求が今後のビザ申請に影響しないとしています。
  • スーパーが日本の年金に通算されると思う。日豪の協定で通算されるのはオーストラリアの社会保障制度だけで、スーパーは別に手続きが必要です。

よくある質問

DASPは日本に帰ってからでも申請できますか?

はい、できます。むしろDASPは出国したあとでなければ請求できません。ただしATOは、出国後に申請を始めるのは難しいことがあるとして、出国前に情報を集め、オンライン申請を始めておくよう強くすすめています。

ワーホリで働いた分の税率は何%ですか?

ワーキングホリデーメーカーとして積み立てたスーパーには、課税済みの部分にも未課税の部分にも65%の税率がかかります。ほかの区分では、課税済みの部分が35%、未課税の部分が45%で、非課税部分には税金がかかりません。

申請しないまま6か月たつと、スーパーはなくなってしまいますか?

なくなりません。出国から6か月以上たち、ビザも失効していると、基金はスーパーを未請求のお金としてATOに移します。ATOに移ったスーパーも、DASPとして請求できます。

お金はどのくらいの期間で、どうやって届きますか?

申請がそろってから、通常28日以内に支払われます。受け取り方は、オーストラリアの銀行口座への振込か、基金に申請する場合で基金が対応していれば海外送金です。

DASPを受け取ると、次にオーストラリアのビザを申請するときに不利になりますか?

ATOは、DASPを請求しても今後のビザ申請には影響しないとしています。ワーホリのあとに、雇用主がスポンサーになる就労ビザで戻りたいと考えている人も、条件を満たしていれば安心して請求できます。

まとめ

  • 雇用主のスーパーの一般的な拠出率は、2026年7月1日から2027年6月30日まで12.00%です。
  • DASPは、ビザが失効して出国したあとに請求します。準備と申請の開始は出国前に。
  • 残高が$5,000以上なら、本人確認書類の認証はオーストラリアにいるうちに済ませましょう。
  • ワーホリの分の税率は65%。申請がそろえば通常28日以内に支払われます。
  • 請求しないと出国から6か月以上でATOへ移りますが、そこからも請求できます。

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