← すべての記事

オーストラリア留学中の日本人へ:人気の「乗り換え先」コースの募集停止は何を意味する?

News · 2026-09-04 · 5 min read

オーストラリアのキャンパスの中庭で、テーブルを囲んで穏やかに話す日本人の男女3人。

オーストラリアで学んでいる方や、これから留学を考えている方の間で、「保険」のように選ばれてきた人気のコースが募集を止めたという話が広がっています。何が起きたのか、なぜ大事なのか、自分に関係がある場合はどうすればよいのかを整理しました。

何が起きたのか

オーストラリア政府は、職業教育(VET)分野の資格であるGraduate Diploma of Management (Learning)について、留学生の新規入学を事実上止めました。このコースは、ほかのコースからの「乗り換え先」として、いつの間にか国内でも特に人気のあるコースになっていました。今在籍している学生は最後まで学べますが、学校や留学エージェントが新しい留学生を勧誘することはできなくなりました。

政府がコースを取り消す新しい権限を使ったのは、これが初めてです。今後も同じような措置が続くとみられています。

なぜこのコースだったのか

数字を見ると理由が分かります。このディプロマへの乗り換えは、2020年の約510人から2025年には約4,000人に増えました。乗り換えてきた人の約77%は、すでに高等教育のほかのコースで学んでいた人です。新しく学生ビザを申請しなくても移れたということです。

当局はほかにも、次の点を問題にしました。

  • 2025年に入学を認められた学生の半数近くが、実際には学び始めなかった
  • 修了率がVET分野の平均を大きく下回っていた
  • 450を超える教育機関がこのコースを提供し、全国で41,000件を超える在籍があった

つまり、経営学をきちんと学ぶというより、安く手間をかけずに在籍を続け、ビザを保つための手段になっているように見えたのです。

教育だけでなく、移民政策の動きでもあります

この措置は単独のものではありません。政府は、年間約300,000人のペースで続く純海外移民(net overseas migration)を、2028年までに225,000人の目標に近づけるよう迫られています。大きな制度改正を一度に行うのではなく、的を絞った小さな手を重ねています。

  • 私立の学校や職業訓練機関からの新しいコース申請を、12か月凍結する
  • 国外からの新しい申請より、すでに国内にいる技能移民を優先するよう、ビザ審査の順番を見直す
  • 多くの国からのワーキングホリデービザの審査を遅らせる
  • 保護申請が認められなかった人の就労資格をなくすことが、閣議で検討されているとみられる

ブリッジングビザ(bridging visa)で滞在する人も、2017年の約130,000人から2026年には413,000人を超えるまでに増えました。移民の議論でよく取り上げられる数字ですが、政府は人道的な受け入れは減らさないとしています。

コースや教育機関の健全さは、今や移民政策の手段のひとつです。大きな改革を一度に行うより、今回のような的を絞った対応が続くと考えておきましょう。

立場別に見る、今できること

  • 今このディプロマで学んでいる方:予定どおり修了できます。途中まで進んでいる学生には、何も変わりません。
  • このコースへの乗り換えを考えていた方:新しい入学は受け付けられません。それでも入学を勧めるエージェントや学校があれば注意が必要です。理由をしっかり確かめましょう。
  • 初めてコースを選ぶ方:コース選びは教室の中だけの話ではありません。当局は入学と修了の状況を見ていて、ビザを保つためだけに見えるコースは、取り消しや資金の削減、教育機関への制限の対象になりやすくなっています。安さや楽さより、評価の高い本物の資格を選ぶ方が、ビザの道を守れます。
  • 理由があってコースを変えたい方:決める前に、登録移民エージェントに相談しましょう。書類の上では便利に見える乗り換えでも、移った先のコースや学校が後で調査を受ければ、ビザに影響が出ることがあります。

日本の方が気をつけたいこと

ワーキングホリデーのあとに学生ビザで滞在を延ばそうと考える方もいるかもしれません。今回の動きは、在籍を続けるためだけのコース選びが通りにくくなっていることを示しています。ワーキングホリデービザの審査を遅らせる対象に日本が入るかどうかは、内務省(Department of Home Affairs)の公式ページで確認してください。

留学のあとにオーストラリアで働く道を考えているなら、ワーキングホリデーも学生ビザも、雇用主によるビザスポンサーとは別のビザだと知っておきましょう。英文の卒業証明書や在職証明書、IELTSやPTEの結果など、仕事につながる準備を早めに進めておくと安心です。相談の費用を払うときは、登録移民エージェントと書面で契約し、領収書をもらいましょう。仕事のオファーやスポンサーのためにお金を払うことは、オーストラリアでは違法です。

学生ビザについては、学生ビザの不許可が増えている理由を解説した記事や学生ビザの見直しが家族に与える影響の記事も参考になります。純海外移民の仕組みは純海外移民の数字を説明した記事で詳しく紹介しています。卒業後の仕事探しには、ビザスポンサー付きの求人一覧もご覧ください。

よくある質問

今このディプロマに在籍していますが、学べなくなりますか?

学べます。在籍中の学生は予定どおり修了できます。止まったのは、留学生の新規入学です。

なぜこのコースが対象になったのですか?

乗り換えが2020年の約510人から2025年には約4,000人に増え、入学を認められても学び始めない学生が多く、修了率も低かったためです。在籍を続けてビザを保つ手段になっていると見られました。

ほかのコースも止められる可能性はありますか?

あります。政府がこの権限を使ったのは今回が初めてで、今後も的を絞った措置が続くとみられています。

ワーキングホリデービザの審査にも影響はありますか?

多くの国の申請者について、審査を遅らせる動きがあります。日本が対象かどうかは、内務省の公式ページで確認してください。

コースを変える前には、だれに相談すればよいですか?

登録移民エージェントに相談しましょう。費用は書面の契約にもとづいて払い、領収書をもらうと安心です。

まとめ

  • Graduate Diploma of Management (Learning)は、留学生の新規入学が止まりました。
  • 今在籍している学生は、予定どおり修了できます。
  • コースや教育機関の健全さは、移民政策の手段にもなっています。
  • コース選びや乗り換えの前に、登録移民エージェントに相談しましょう。
  • ワーキングホリデーも学生ビザも、雇用主によるビザスポンサーとは別のビザです。

#オーストラリア留学 #学生ビザ #コース変更 #移民政策 #ワーキングホリデー #オーストラリアで働く

続けて読む

すべての記事