88%の企業が人材確保に苦戦:オーストラリアの技能不足を、日本のエンジニアはどう見る?
News · 2026-09-30 · 6 min read

オーストラリアでは雇用の勢いが落ち着きつつあると言われます。それでも、必要な人が見つからないと悩む企業は少なくありません。理由は働き手の数ではありません。必要な技能を持つ人が、必要な場所に、必要なときにいないことです。
日本でITや技術の仕事をしていて、オーストラリアで働くことを考えている方にとって、この「ずれ」は知っておきたい話です。
数字で見る人材確保の難しさ
海外人材の雇用を扱う企業の新しい調査では、オーストラリアの企業の88%が、前の年と比べて国内で資格のある人材を見つけるのが難しくなったと答えました。世界全体では78%なので、オーストラリアの企業のほうが苦労している割合が高いことになります。さらに79%の企業が、人材がいなかったために重要な事業目標を達成できなかったと認めています。
連邦議会の技能移民に関する調査(inquiry)でも、似た声が上がっています。人工知能(AI)、サイバーセキュリティ、エネルギーといった分野で、重要な技術人材を集め、引き止めることが難しくなっているという指摘です。科学技術の業界団体であるScience and Technology Australiaも、AI、AUKUS、サイバー、量子技術、ネットゼロで需要が伸びるなか、国内でSTEM人材を育てる流れに負担がかかっていると伝えています。
育成を待つだけでは間に合わない
オーストラリア国内でこうした分野の人を育てることは欠かせません。ただ、育成の流れが実を結ぶまでには何年もかかります。今期中にサイバーセキュリティの責任者やシニアエンジニアが必要な企業は、そこまで待てません。そのため、先を見ている企業は「どこで採用するか」ではなく「どんな能力が必要か」から人員計画を始めるようになっています。
海外採用が伸びている職種と国
調査のデータからは、採用の習慣が速いペースで変わっていることがわかります。2025年7月から2026年7月までに、オーストラリアの企業による海外からの採用の需要は、シニアソフトウェアエンジニアで141%、ゲーム開発者で100%、ソフトウェアエンジニアで86%、QAスペシャリストで42%増えました。
人材の出身国も変わっています。フィリピンからの採用は108%、インドからは89%、米国からは55%増えました。日本は数字に挙がっていませんが、海外まで技術者を探しに行く企業が増えていることは、日本の技術者にも関係のある動きです。
「仕事を海外に移す」と「技能移民」は別の話
ここで分けて考えたいことがあります。足りない専門性を求めて海外から人を採ることと、主にコストを下げるために国内の仕事を海外へ移すことは、まったく別のものです。どちらも国境を越えた雇用ですが、答えようとしている問いが違います。海外採用が、オーストラリアの働き手への投資の代わりになってはいけない、という考え方も示されています。
海外就職を考える側から見ると、ここは大事な点です。現地にいなければできない仕事があり、そうしたポジションを埋めるのが技能移民です。雇用主によるビザスポンサーは、まさにその場面で使われる仕組みです。
日本の技術者が今から準備できること
調査が示しているのは、市場が落ち着いても専門技能への需要は本物で、続いているということです。国内で人が見つからない企業は、より遠くまで目を向けています。そこには、現地に移り住んで働ける技能者のビザをスポンサーすることも含まれます。
- 専門分野をはっきりさせる:AI、サイバーセキュリティ、ソフトウェア開発、QAなど、企業が探している能力と自分の経験を結びつけて説明できるようにします。
- 英語の書類をそろえる:卒業証明書や在職証明書は英語版を用意し、名前の綴りはパスポートのローマ字にそろえます。
- 英文CVを整える:担当したシステムや使った技術、成果を具体的に書きます。Build AI CVで技術職向けの英文CVを作ることもできます。
- 職歴を見せられるようにする:Talent Tabloidの認証済みプロフィールは任意ですが、雇用主があなたの経験を確かめやすくなり、応募が目に留まりやすくなることがあります。
技術職での移住について別の道も考えておきたい方は、オーストラリアを目指す技術者のための「プランB」の記事も参考になります。企業が海外の人材をどう取り入れているかは、人材不足が企業に与える負担を扱った記事や国内と海外を組み合わせたチームづくりの記事で紹介しています。今の募集はビザスポンサー付きの求人一覧から確認でき、応募は無料です。
国内の人材育成も同時に
海外からの採用は目の前の不足を埋められますが、長い目で見た投資の代わりにはなりません。教育や職業訓練、専門的な能力開発を、産業がこれから必要とするものに近づけること。経験の浅い人がキャリアを始めやすい道と、経験のある人が学び直しやすい道を整えること。こうした取り組みも求められています。海外からの人材は今の専門性を、国内の育成は将来の担い手を支えます。オーストラリアには両方が必要だ、というのがこの調査から見える結論です。
よくある質問
雇用が落ち着いているのに、なぜ人材不足なのですか?
働き手の数ではなく、必要な技能を持つ人が足りていないためです。全体の雇用の数字だけでは、働ける人が必要な技能を持っているかどうかはわかりません。
どんな職種で海外からの採用が伸びていますか?
2025年7月から2026年7月までに、シニアソフトウェアエンジニアは141%、ゲーム開発者は100%、ソフトウェアエンジニアは86%、QAスペシャリストは42%伸びました。AIやサイバーセキュリティ、エネルギーの分野でも人材集めが難しいとされています。
ワーキングホリデーで働けば、スポンサーにつながりますか?
ワーキングホリデービザは、雇用主によるビザスポンサーとは別のビザです。スポンサー付きの仕事で働くには、雇用主の支援を受けて就労ビザを別に申請する必要があります。
海外からの採用とリモート採用は同じですか?
同じではありません。現地にいる人が必要な仕事もあり、そうしたポジションでは技能移民で人を迎えることが役に立ちます。企業は職種ごとに、育成、国内採用、スポンサー、リモート採用のどれが合うかを考えています。
まとめ
- オーストラリアの企業の88%が、資格のある人材を見つけにくくなったと答えています。
- 足りないのは人数ではなく、必要な場所にいる必要な技能です。
- シニアソフトウェアエンジニアの海外からの採用の需要は141%増えました。
- 現地で働く人が必要な仕事では、雇用主によるビザスポンサーが使われます。
- 英語の書類と英文CVを早めに整えておくと、応募の準備が進みます。
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