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「国内か海外か」ではない:オーストラリア企業のチームづくりから日本の働き手が読み取れること

Employer update · 2026-09-04 · 6 min read

シドニーの港を望むオフィスで、画面越しの同僚と会議する日本人の男女。

オーストラリアでは、仕事を海外に移す「オフショア化」をめぐって意見がはっきり分かれています。大企業が事務の仕事をまとめて海外へ移すという話題がある一方で、海外での採用は地元の雇用を奪うものだという見方も根強くあります。けれども多くの企業の中で実際に起きているのは、そのどちらかを選ぶことではありません。国内のチームと海外のチームを、目的をもって両方つくっているのです。

主に雇用主に向けた話題ですが、オーストラリアで働くことを考えている日本の方にとっても、どんな仕事が現地に残り、どんな力が求められているのかを知る手がかりになります。

人手不足は、すでに売上の問題になっている

ある人材サービス会社が雇用主を対象に行った最近の調査で、人手不足が人事部だけの悩みではなくなっていることがはっきりしました。必要な人を採用できなかった結果、サービスの質が落ちた、顧客が離れた、納期に間に合わなかったという声が上がりました。人手や専門知識が足りず、新しい仕事を断ったという企業もあります。

大切なのは、これが「安い労働力がほしい」という話ではないことです。まず国内で採用しようとしたものの、重要なポジションを間に合うように埋められず、その穴が決算の数字に表れてきた。それが実態です。

小さな会社ほど、事情はまったく違う

世間の議論は、何百もの仕事を外部に任せる大企業の取り引きに集中しがちです。しかしオーストラリア経済の大部分を占める中小企業では、考え方が根本から異なります。

創業者が初めての事務や運営の担当者を国内で雇おうとすると、スーパーアニュエーション(superannuation、退職年金の積み立て)や休暇の権利、諸経費を含めた総額は、かなり大きな金額になります。立ち上げたばかりの会社には、手が届かないことも少なくありません。その場合、海外での採用は国内の採用を置き換えるものではなく、そのポジションを埋めるほぼ唯一の方法です。創業者や今いるスタッフは会社を伸ばす仕事に集中できるようになり、いずれは国内で人を雇う余裕にもつながります。

コンプライアンスへの自信が追いついていない

同じ調査で目を引くのは、採用の計画よりもリスク管理についての結果です。海外での雇用に求められるコンプライアンス(法令順守)の水準がここ数年で大きく上がったと感じている雇用主は、大多数にのぼりました。それなのに、今の体制に本当に自信があるのは一部の企業だけで、自社にどの基準が当てはまるのかわからないという企業も目立ちます。

つまずく企業の多くは、海外に任せると決めたことではなく、その仕組みのつくり方で失敗しています。働く人の雇用区分、データの取り扱い、契約の条件、現地の労働法との関係は、初日から正しく整えておく必要があります。国内と海外の働き方が重なる場面では、公正労働オンブズマン(Fair Work Ombudsman)が出している雇用主の義務についての案内が出発点になります。

AIは海外の仕事を減らすのではなく、中身を変えている

AIが広まれば、いずれ海外での採用は要らなくなると考える人もいます。しかしデータが示しているのは別の姿です。海外のチームは、国内のチームと同じか、それ以上の速さでAIツールを取り入れています。今、海外で特に伸びている仕事には、データアナリスト、自動化の専門家、AIエンジニアといった、AIと自動化そのものに関わる職種が含まれています。

自動化されているのは、決まった手順でこなす定型の仕事です。残り、そして増えているのは、情報を読み解く、顧客の事情をくみ取る、会社に合った形でAIを使いこなすといった、判断力が必要な仕事です。

仕事の棚卸しから見えてくる組み合わせ方

企業にとっての最初の一歩は、「海外に出すかどうか」を決めることではなく、チームが毎週実際に何をしているかを洗い出すことです。くり返しこなせる仕事はどれか。地元の市場の知識や、顧客と向き合う判断が必要な仕事はどれか。時間が足りないせいで成長の足かせになっている仕事はどれか。

こうして整理すると、多くの場合はどちらか一方ではなく、組み合わせた形が見えてきます。中心となる仕事、判断の重い仕事、顧客と直接向き合う仕事は国内に置き、サポートや運営、専門的な仕事の一部は海外でまかなう形です。うまく設計できれば、この形は国内の採用と競合しません。会社が成長する余裕を生み、国内で人を雇える段階へと近づけてくれます。

日本からオーストラリアで働きたい人へのヒント

ここから読み取れるのは、現地に残るのが、顧客と向き合い、その場で判断する力が求められる仕事だということです。応募のときは、こうした経験を具体的に示せると強みになります。Build AI CVで英文CVを整えると、顧客対応や判断を任された場面を整理しやすくなります。職歴やスキルを確かめられる形で見せたい方は、Talent Tabloidで確認済みのプロフィールをつくることもできます。プロフィールは任意です。

オーストラリアの人手不足については、海外とつながるチームを持つ企業が増える理由の記事や、移民をめぐる議論より大きな人手不足を取り上げた記事でも詳しく紹介しています。今募集している仕事は、ビザスポンサー付きの求人一覧から確認できます。

よくある質問

海外への仕事の移転が進むと、オーストラリアで働くチャンスは減りますか?

多くの企業は、国内と海外のどちらかを選ぶのではなく、両方を組み合わせています。顧客と向き合う仕事や判断の重い仕事は国内に残す形が多く、うまく設計できれば国内の採用を支えることにもつながります。

なぜ企業は国内だけで採用しないのですか?

国内で採用しようとしても、重要なポジションを間に合うように埋められないことがあるからです。特に小さな会社では、退職年金や休暇などを含めた人件費の総額が大きく、国内での採用が難しい場合があります。

AIで仕事はなくなりませんか?

定型の仕事は自動化が進んでいます。一方で、情報を読み解いたり、顧客の事情をくみ取ったりする判断の仕事は増えています。AIツールを仕事の中で使いこなせることも、これからの強みになります。

ワーキングホリデーで働いた経験は役に立ちますか?

現地での顧客対応や職場での判断の経験は、英文CVで示せる材料になります。ただし、ワーキングホリデービザ(Working Holiday visa)は、雇用主によるビザスポンサーとは別のビザです。スポンサー付きの仕事で働くには、別のビザの申請が必要です。

まとめ

  • オーストラリアの多くの企業は、国内か海外かを選ぶのではなく、両方を組み合わせています。
  • 人手不足は、サービスの質や売上に響く経営の問題になっています。
  • 海外での雇用では、コンプライアンスを最初から整えることが欠かせません。
  • AIで定型の仕事が減る一方、判断力が必要な仕事は増えています。
  • 現地に残るのは顧客と向き合う仕事です。その経験を英文CVで具体的に示しましょう。

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