移民を減らせば財政は楽になる?オーストラリア政府の試算が示す働き手不足の現実
News · 2026-09-22 · 4 min read

オーストラリアでは、移民の受け入れ数を減らすべきだという声が政治の場で強まっています。ところが、政府自身の長期的な経済見通しを読むと、見えてくるのは正反対の姿です。移民を減らしても問題は片づかず、むしろもっと大きな問題を生む、という内容です。少子高齢化を身近に感じている日本の方には、わかりやすい話かもしれません。
出生率は半世紀にわたって人口維持の水準を下回っている
人口を保つのに必要な出生率は、女性1人あたり2.1人とされています。オーストラリアの出生率は半世紀にわたってこの水準を下回り、今は約1.5です。政府の見通しでは、今後40年ほどでさらに約1.34まで下がります。その結果、2060年代半ばには、亡くなる人の数が生まれる人の数を初めて上回ると見込まれています。
財務大臣(Treasurer)は、過去の政権のような出産奨励金を復活させることも、国民に家族計画について説くこともしないと明言しています。そうなると、人口と働き手を増やし続けるために政府が使える主な手段は、移民ということになります。
支える側が減ると、負担はどう変わるか
これは考え方の違いではなく、計算の問題です。高齢化が進むと、税金を納める働く世代は減り、医療、年金、介護を必要とする退職世代は増えていきます。
その目安になるのが老年人口指数(dependency ratio)で、働く世代100人に対する65歳以上の人数を表します。今は約27人ですが、通常の移民受け入れを続けても2060年代には40人に増える見通しです。移民を減らした場合は、43人まで上がります。
政府の長期財政見通しに組み込まれた試算では、移民を少なくした場合、次のような結果になるとされています。
- 2065-66年度の財政赤字が、すでに懸念されているGDP比1.8%から2.4%に広がる
- 政府債務のGDP比が、10ポイント近く高くなる
移民には「コストがかかる」という批判があります。しかし長い目で見ると、移民が足りないことによる財政への負担のほうがはるかに大きい、というのが試算の示すところです。
海外で働きたい人にとっての意味
この数字は、政府の内部資料というだけのものではありません。目先の政治の動きとは別に、政策が長い目でどこへ向かうのかを示しています。
- 技能移民は国の経済の優先課題です。財務省(Treasury)の基本的な見通しは、財政の悪化を避けるだけでも、純海外移民(net overseas migration)が毎年200,000人を大きく上回る水準で続くことを前提にしています。
- 移民は人手不足を埋めるだけの存在ではありません。働く世代の若い移民は今まさに税金を納め、高齢化する国民は公共サービスをより多く使うようになります。
- 多文化主義と経済戦略が結びつけて語られています。政府は移民を、技能、新しい発想、国際的なつながりを通じて経済を強くするものと位置づけています。
日本から準備しておきたいこと
移民の受け入れ数をめぐる議論は、選挙のたびに盛り上がります。それでも、技能を持つ働き手が求められる流れそのものは、すぐには変わりにくいと考えられます。日本の方がオーストラリアで働く道の一つが、雇用主によるビザスポンサーです。仕組みは日本語のビザガイドで確認できます。
すでにワーキングホリデーで現地にいる方は、ワーキングホリデーと雇用主によるビザスポンサーは別のビザだという点に注意してください。書類の準備としては、卒業証明書や在職証明書の英語版をそろえ、すべての書類の名前をパスポートのローマ字表記に合わせておくと安心です。応募の土台になる英文CVは、Build AI CVで英文CVを作ることもできます。
高齢化と移民の関係は、オーストラリアの長期計画と移民を取り上げた記事や純海外移民の数字を解説した記事でも紹介しています。
よくある質問
オーストラリアの出生率はどのくらいですか?
今は約1.5で、人口を保てる2.1を半世紀にわたって下回っています。政府の見通しでは、今後さらに約1.34まで下がるとされています。
移民を減らすと、なぜ財政が悪くなるのですか?
税金を納める働く世代が減り、医療や年金、介護を必要とする高齢者の割合が増えるからです。試算では、移民を減らすと2065-66年度の財政赤字がGDP比2.4%に広がるとされています。
日本人が雇用主のスポンサーで働くことはできますか?
国籍に関係なく、条件に合えばオーストラリアの雇用主によるビザスポンサーで働く道があります。まずは自分の経験や資格に合う求人を探すことから始めましょう。
ワーキングホリデー中に働いた経験は役に立ちますか?
現地で働いた経験は、応募のときに役立つことがあります。ただし、ワーキングホリデーは雇用主によるビザスポンサーとは別のビザで、スポンサーを受けるには別の申請が必要です。
まとめ
- オーストラリアの出生率は約1.5で、2060年代半ばには亡くなる人が生まれる人を上回る見通しです。
- 移民を減らすと、働く世代100人に対する65歳以上の人数は43人まで上がります。
- 政府の試算では、移民が少ないほど財政赤字と政府債務が膨らみます。
- 技能移民は、政治の動きとは別に国の経済を支える柱と位置づけられています。
- 仕事は求人一覧から探せます。応募は無料です。
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