ワーホリのDASP、65%の税金を引くといくら戻る?5,000豪ドルの例とATOが勧める未払いチェック
Tips · 2026-10-27 · 10 min read

ワーキングホリデー(ワーホリ)で働いた分のスーパーアニュエーション(superannuation、以下「スーパー」)は、DASPで受け取るときに65%が税金として差し引かれ、手元に戻るのは残りの35%です。積立が5,000豪ドルなら、税金が3,250豪ドルで、受け取れるのは1,750豪ドル。しかも、雇用主が払い込むべき分が基金に入っていなければ、65%を引かれる前の元の額から少なくなってしまいます。この記事では、戻る額の計算の仕方と、帰国前に未払いがないか確かめる手順を、数字を使って整理します。
DASPを請求できる条件や、帰国前に済ませたい準備の全体は、DASPの基本と帰国前の準備をまとめた記事で解説しています。ここでは「いくら戻るのか」と「そもそも全額払われているのか」の2点に絞ります。
65%はどこにかかる?DASPの税率をワーホリとほかのビザで比べる
DASPの税率は、オーストラリア税務署(Australian Taxation Office, ATO)のスーパーからの支払いにかかる税率のページに載っています。2017年7月1日から使われている率で、スーパーの中身の区分ごとに決まっています。非課税の部分(tax-free component)には税金がかかりません。
| スーパーの区分 | ワーホリ以外の一時ビザで積み立てた分 | ワーホリで積み立てた分 |
|---|---|---|
| 課税済みの部分(taxed element) | 35% | 65% |
| 未課税の部分(untaxed element) | 45% | 65% |
| 5,000豪ドルがすべて課税済みの部分だった場合の税金 | 1,750豪ドル | 3,250豪ドル |
| 同じ場合に手元に戻る額 | 3,250豪ドル | 1,750豪ドル |
ワーホリの分は、課税済みでも未課税でも同じ65%です。区分による差がないぶん、計算は「積立の額×35%」で見当がつきます。一方、ワーホリのあとに別の一時ビザで働いた期間がある人は、その期間の分に別の率がかかるかもしれません。自分のスーパーがどの区分に入っているかは、基金の明細書で見るか、基金に問い合わせて確かめましょう。
5,000豪ドルの積立なら、戻るのは1,750豪ドル
同じ5,000豪ドルでも、ワーホリで積み立てた分なら1,750豪ドル、ほかの一時ビザで積み立てた課税済みの分なら3,250豪ドルが戻ります。受け取る額には2倍近い差が出ます。帰国後の生活費や次の渡航資金にあてるつもりなら、積立の額そのままではなく、35%の額で予算を立てておくと計算が狂いません。
5,000豪ドルという額には、もう一つ意味があります。ATOは、スーパーが5,000豪ドル以上あると、基金から本人確認書類の認証済みコピー(certified copies)を求められることがあり、その認証はオーストラリアにいるうちのほうがずっと楽だとしています。積立がこの額に近づいてきたら、出国前に書類の準備も考えておきましょう。
支払いの時期と方法も、予算に関わります。DASPは申請が整ってからふつう28日以内に、オーストラリアの銀行口座への振り込みか、基金に申請して基金が対応している場合は海外送金で支払われます。日本の口座で受け取りたい人は、基金が海外送金に対応しているかを先に確かめ、受け取り方が決まるまでオーストラリアの口座を閉じないようにしましょう。
最低賃金のフルタイムなら、スーパーはどのくらい積み上がる?
ATOが示しているスーパーの一般的な拠出率(superannuation guarantee)は、2026年7月1日から2027年6月30日までの期間で12.00%です。2026年7月1日からの全国最低賃金(National Minimum Wage)は時給26.44豪ドル、週1004.90豪ドルなので、この額で計算してみます。
- 1週間に払い込まれるスーパー:1004.90豪ドル×12%で約120.59豪ドル
- そのうちDASPで手元に戻る額:65%を引いて約42.21豪ドル
- 同じ条件で半年働いた場合の積立:約3,135.29豪ドル(DASPで戻るのは約1,097.35豪ドル)
多くの人の最低賃金は業種や職種ごとのアワード(award)で決まり、全国最低賃金より高いこともあります。ここでの数字は、計算の仕方をつかむための目安と考えてください。実際の額は、働いた時間や時給によって変わります。
417ビザでは、同じ雇用主のもとで働けるのはふつう6か月までです。半年ごとに職場が変わると、スーパーの口座も職場ごとに増えていくことがあります。ファームジョブで農場を移りながらセカンドビザを目指す人は、88日の数え方と給料のルールをまとめた記事もあわせて読んでおくと、日数とお金の記録を一緒に管理できます。収穫やパッキングの仕事を探すなら、Seasonal Jobs Australiaの季節の仕事の一覧が便利です。どの農場で働いても、給与明細とスーパーの記録を職場ごとに残しておきましょう。
給料にかかる所得税:ワーホリの税率は最初の1ドルから15%
DASPの65%とは別に、働いている間の給料にも税金がかかります。内務省(Department of Home Affairs)も、417ビザの人は働けば税金を払う必要があり、雇用主はスーパーを基金に払い込み、オーストラリアを出るときにはそのスーパーを受け取れると案内しています。ワーホリの人の所得税は、ATOのワーキングホリデーメーカーの税率のページにある専用の税率で計算します。ページに載っている最新の年度は2025-26年度です。
| 1年間の課税所得 | 税額 |
|---|---|
| 45,000豪ドルまで | 1ドルごとに15セント |
| 45,000豪ドルを超えて135,000豪ドルまで | 6,750豪ドル+45,000豪ドルを超えた分の1ドルごとに30セント |
| 135,000豪ドルを超えて190,000豪ドルまで | 33,750豪ドル+135,000豪ドルを超えた分の1ドルごとに37セント |
| 190,000豪ドルを超える分 | 54,100豪ドル+190,000豪ドルを超えた分の1ドルごとに45セント |
同じ2025-26年度の外国居住者(foreign resident)の税率は、最初の1ドルから30セントです。45,000豪ドルまでの部分は、ワーホリの税率のほうが低くなります。
たとえば全国最低賃金のフルタイムで1年間働き、課税所得が約52,254.80豪ドルになったとすると、上の表で計算した所得税は約8,926.44豪ドルです。働いた期間や時給、ほかの所得によって額は変わるので、あくまで計算の例として見てください。
雇用主がスーパーを払い込んでいるか確かめる5つの手順
65%を引かれる前の元の額が少なければ、戻るお金はさらに減ります。ATOは、DASPを申請する前に、必要なスーパーがすべて払い込まれているか雇用主に確かめるようすすめています。帰国の直前にまとめて調べるのではなく、働いている間から次の順番で見ていきましょう。
- 給与明細を毎回保存する。給与明細は給料日から1営業日以内に、紙か電子で渡されることになっています。フェアワーク・オンブズマン(Fair Work Ombudsman)の給与明細のページで、明細に載るべき項目を確かめられます。
- 明細のスーパーの欄を見る。オーストラリアの給料はふつう銀行口座に振り込まれ、明細には収入、差し引かれた税金、スーパーの拠出額が載ります。スーパーの欄が空のままなら、早めに理由を聞きましょう。
- 割合を計算してみる。2026年7月1日以降の分なら、一般的な拠出率は12.00%です。明細の額が少なく見えるときは、決めつけずに、まず計算の仕方を雇用主に尋ねます。
- 基金の口座の入金と照らし合わせる。明細に額が載っていても、基金に実際に入っているかは別の話です。基金のオンライン口座や明細書で、職場ごとの入金を確かめます。
- 職場ごとの口座を書き出す。いくつかの雇用主のもとで働いた人は、スーパーの口座が複数あるかもしれないとATOも案内しています。基金の名前と会員番号を一覧にしておけば、DASPの申請で漏れが出にくくなります。
ビザで働く人も、給料や休暇、最後の給料の支払いなどについて、ほかの従業員と同じ職場の権利と保護を受けられます。また、雇用主が働く人のビザを取り消すことはできず、ビザを出したり取り消したりできるのは内務省だけです。「聞いたらビザに響くのでは」と遠慮する必要はありません。職場のことで困ったら、通訳サービス(Translating and Interpreting Service)の131 450に電話し、フェアワーク・オンブズマンの13 13 94につないでもらえます。
給与明細の項目をさらに詳しく見たい方には、JobFinderの英語記事給与明細で毎回確かめたい項目の解説も参考になります。
口座が複数ある人、申請しないまま帰国した人は
DASPは、オーストラリアを出国したあとでなければ請求できません。それでもATOは、出国後に始めるのは難しいことがあるとして、出国前に情報を集めて申請を始めておくよう強くすすめています。ATOのDASPのページから使えるオンライン申請は無料で、内務省とのビザの照合も自動で行われ、オーストラリアにいるうちに途中まで入力して保存できます。口座が複数ある人は、口座ごとに申請が漏れていないかを一覧と見比べてください。
申請しないまま出国から6か月以上たち、ビザも失効していると、基金はそのスーパーを未請求のお金(unclaimed super money)としてATOに移します。お金が消えるわけではなく、ATOが持っている分もDASPとして請求できます。ただし、一時帰国のように、ワーホリのビザがまだ有効な間は請求の条件を満たしません。
ATOは、DASPを請求しても今後のビザ申請には影響しないと説明しています。ワーホリのあとに、雇用主によるビザスポンサーで働くことを考えている人も、受け取りをためらう必要はありません。どんな職種がスポンサーの対象になりやすいかはシェフや大工が482ビザとAEWVで確かめたい条件の記事で、ワーホリと就労ビザで誰がどの費用を払うかはワーホリと482ビザの費用を比べた記事で解説しています。JobsAbroad Japanでは、バンバリーのシェフ(Chef)の求人やパースのピザシェフ(Pizza Chef)の求人なども募集中です。
よくある間違いと避け方
- 積立の額をそのまま帰国後の予算に入れる。ワーホリの分は65%が引かれます。受け取れるのは35%ほどと考えて計画を立てましょう。
- 明細のスーパーの欄を見ないまま働き続ける。未払いに気づくのが帰国直前だと、雇用主と話す時間がほとんどありません。毎回の明細で見るのがいちばん手間の少ない方法です。
- 最初の職場の口座を忘れる。職場を変えるたびに口座が増えることがあります。申請から漏れた口座は、出国から6か月以上たつとATOに移り、あとで別に請求することになります。
- 一時帰国のときに請求しようとする。DASPはビザが失効していることが条件の一つです。ワーホリのビザが有効な間は、日本に戻っていても請求できません。
よくある質問
ワーホリで積み立てたスーパーは、DASPでどのくらい戻ってきますか?
ワーホリで積み立てた分には、課税済みの部分にも未課税の部分にも65%の税金がかかるため、受け取れるのは積立の35%ほどです。たとえば積立が5,000豪ドルなら、税金が3,250豪ドルで、手元に戻るのは1,750豪ドルになります。
ワーホリ以外の一時ビザで働いた分も、税率は65%ですか?
ATOの税率表では、ワーホリ以外の一時ビザで積み立てた分は、課税済みの部分が35%、未課税の部分が45%です。自分のスーパーがどの区分に当たるかは、加入している基金の明細書や問い合わせで確かめてください。
雇用主がスーパーを払い込んでいないかもしれないときは、どうすればいいですか?
まず給与明細のスーパーの額と、基金の口座への入金を見比べます。ATOはDASPを申請する前に、必要なスーパーがすべて払い込まれているか雇用主に確かめるようすすめています。職場のことで困ったら、131 450の通訳サービスからフェアワーク・オンブズマンの13 13 94につないでもらえます。
ワーホリの給料にかかる所得税は何%ですか?
ATOのページに載っている最新の2025-26年度の税率では、課税所得が45,000豪ドルまでなら1ドルごとに15セントです。45,000豪ドルを超えて135,000豪ドルまでは、6,750豪ドルに、超えた分の1ドルごとに30セントを足した額になります。
DASPのお金は日本の銀行口座で受け取れますか?
DASPは、オーストラリアの銀行口座への振り込みか、基金に申請して基金が対応している場合は海外送金で支払われます。申請が整ってからふつう28日以内に届くので、受け取り方が決まるまでオーストラリアの口座は残しておくと安心です。
まとめ
- ワーホリで積み立てたスーパーは、DASPで65%が引かれ、戻るのは35%ほどです。
- 5,000豪ドルの積立なら、戻るのは1,750豪ドル。予算は受け取る額で立てましょう。
- 給料の所得税は、2025-26年度のワーホリの税率で45,000豪ドルまで15%です。
- 給与明細のスーパーの欄と基金への入金を、働いている間から照らし合わせましょう。
- オンライン申請は無料で、出国前に途中まで進めて保存できます。
#ワーホリ #dasp #スーパーアニュエーション #税金 #給与明細 #オーストラリアで働く
スーパーアニュエーションの返金DASP:ワーホリは税率65%、帰国前に何を済ませる?
セカンドビザの88日、週末も数える?ファームジョブの日数の数え方と179日・給料のルール
オーストラリアの就労費用、ワーホリと482ビザでは誰が何を払う?日本から出る前の予算表