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ニュージーランドでエンジニアが育たなくなっている:日本の技術者にとってのチャンスは?

News · 2026-09-21 · 6 min read

港を望む明るい設計事務所で、木製の橋の模型を確認する二人の日本人女性技術者。

ニュージーランドのエンジニア不足をめぐる議論は、長い間「供給」の話が中心でした。理系を選ぶ高校生が少ない、大学の定員が少ない、卒業生が少ない。だから、もっと多くの人を育てる必要がある、という前提です。

ところが2025年ごろから、その前提は当てはまらなくなりました。エンジニアになりたい人が少ないのではありません。人を育てる側の会社が、そろって「今年は育成を見送る」と判断しているのです。ニュージーランドで技術者として働くことを考えている日本の方にとっても、知っておきたい動きです。

学位だけではエンジニアになれない

今回の落ち込みには、ほかのホワイトカラーの不況とは違う特徴があります。ニュージーランドでは、学位だけで登録エンジニア(registered engineer)にはなれません。学位は入り口にすぎず、会社の中で何年も指導を受けながら実務を積み、チャータード(chartership)を目指して、はじめて本当の意味でエンジニアになります。職場がなければ登録はなく、キャリアも始まりません。そのため、会社が新人の受け入れを止めると、影響は一時的な痛みで終わらず、年を追うごとに積み重なっていきます。

数字で見る採用の冷え込み

エンジニアリングのコンサルティング会社の業界団体ACE New Zealandは、2025年4月までの年間で、業界から1,200人以上が離れたと報告しました。760人を超える人員削減に加え、270人が海外の仕事に移っています。けれども、より大きな意味を持つのは新卒の採用です。2025年に新卒の採用を前年より減らしたか、まったくしなかった会社は57%にのぼり、前年は採用していたのに新卒の受け入れをやめた会社も3割近くありました。会社は今いる人を減らしただけでなく、辞めた人の後を継ぐはずの若手にも扉を閉ざしているのです。

業界団体は経験豊富な人材の流出を「憂慮すべき」とし、インフラの仕事が再び増えるときに、まさにその人たちが必要になると警告しています。Engineering New Zealandも、インターンや新卒のポストへの影響を強く心配しています。不況でなくても、エンジニアリングの卒業生の約3分の1は、職場が見つからないまま2年以内に別の仕事に移り、早く離れた人の多くは戻ってきません。

ほかの分野で景気の回復を待つという道も、今は細くなっています。主な数字をまとめました。

指標数字時期など
失業率の見通し5.5%まで上昇財務省(Treasury)の予算経済財政見通し、2026年6月期
企業の景況感+39から+1へQuarterly Survey of Business Opinion、2026年3月
20〜24歳のNEET率17.1%ビジネス・イノベーション・雇用省(MBIE)、2026年3月
学生向けの求人への応募4,600件の募集に38,000件、1件に8人ある1か月
建設の見習い2022年から30%以上減少Apprenticeship Boostの補助金が2025年1月に半分になった後、申請は1年で309件から55件へ

エンジニアのインターンを担うはずの若い世代が、いちばん大きな影響を受けています。雇用主も政策も、同時に人材育成への投資から手を引くと、こうなるということです。

回復が始まったとき、何が起きるか

この状況がずっと続くわけではありません。2026年3月の時点で、求人広告は建設を中心に前年より11.8%増えており、財務省は2027年から状況が上向くと見込んでいます。一方でEngineering New Zealandは、退職や海外への流出を数える前でも、今の水準を保つだけで年に最大2,300人の新しいエンジニアが必要だと見ています。

回復しようとしている市場と、細っていく国内の人材。このずれがあるからこそ、技能移民は政策の話題ではなく、現実的な答えになります。水道の改革、交通、気候変動への適応といったインフラの仕事が2027年以降に本格化しても、不況の間に新人を育てなかった会社に急にエンジニアが現れるわけではありません。少ない人材を取り合うことになり、海外からの採用は「あればよい」選択肢から、間に合う時間で効く数少ない手段に変わっていく、という見方です。

日本の技術者が今から考えておきたいこと

海外への移住を考えるエンジニアにとって注目したいのは、不況の間も育成と採用を続けている会社です。皆が動き出す2027年ではなく、今のうちから見ておく価値があります。

ニュージーランドで雇用主のスポンサーを受けて働く場合、中心になるのは認定雇用主就労ビザ(Accredited Employer Work Visa, AEWV)です。仕組みはAEWVのガイドで確認できます。また、エンジニアは学位だけでは登録できない仕組みなので、日本での学歴や実務経験をどう示せるか、登録の条件を前もって調べておきましょう。卒業証明書や在職証明書の英語版も、早めに用意しておくと安心です。

応募では、担当したプロジェクトや使ってきた設計の基準を英文CVで具体的に伝えることが大切です。Build AI CVで技術者向けの英文CVを作ることもできます。

関連する話題は、ニュージーランドの大型プロジェクトと人手不足を取り上げた記事や、ニュージーランドの最新の雇用データを読み解いた記事でも紹介しています。募集中の仕事はニュージーランドのビザスポンサー付きの求人から探せます。

よくある質問

ニュージーランドでは今、エンジニアは足りているのですか?

今は採用が冷え込んでいますが、長い目で見ると不足が見込まれています。今の水準を保つだけでも、年に最大2,300人の新しいエンジニアが必要だという見方があります。

回復はいつごろと見られていますか?

2026年3月の時点で、求人広告は前年より11.8%増えています。財務省は、2027年から状況が上向くと見込んでいます。

日本の学位があれば、すぐに登録エンジニアになれますか?

ニュージーランドでは、学位だけでは登録エンジニアになれず、会社で指導を受けながら実務を積むことが前提です。日本での経験がどう扱われるかは、登録の条件を個別に確認してください。

今のうちにできることは何ですか?

実務経験を英語で説明できるよう書類を整え、不況の間も採用を続けている会社に注目しておくことです。卒業証明書や在職証明書の英語版も、早めに準備しておきましょう。

まとめ

  • 2025年には57%の会社が、新卒の採用を減らすか、まったくしませんでした。
  • エンジニアは学位だけでは登録できず、会社での実務が欠かせません。
  • 失業率の上昇や若い世代の就職難も重なり、国内の人材が細っています。
  • 2027年以降のインフラの仕事に向けて、海外からの採用の重みが増すと見られています。
  • 今のうちから、採用を続けている会社と登録の条件を調べておきましょう。

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