$200 billionの工事に人が足りないニュージーランド:日本の技術者・職人はどう動く?
News · 2026-08-20 · 5 min read

エンジニア、プロジェクトマネージャー、職人として次の働き先を考えているなら、ニュージーランドの今の状況は見ておく価値があります。インフラの仕事が、国内の人手でまかなえる量を大きく超えているからです。政府も、この差を早く埋めるよう強く求められています。
工事はあるのに、担い手がいない
ニュージーランドのインフラ分野には、決まっているものと計画中のものを合わせて、$200 billion近いプロジェクトがあります。道路、鉄道、上下水道、エネルギー設備の更新などです。数字だけ見れば建設ブームですが、業界のリーダーたちは、それを実際に形にできるだけの有資格者が国内にいないと認めています。予算をいくら増やしても、この点は変わりません。
業界団体のトップは、インフラを国の成長を引っぱるものとして考えるべきだと訴えています。必要なのはお金だけでなく、仕事をこなせる人の力です。
数字で見るニュージーランドの人手不足
- 建設業の雇用は、2025年3月までの1年間で3.5%減りました。2年続く減少で、失われた仕事はおよそ16,000件にのぼります。
- 2025年9月までの1年間に、出国と入国の差し引きで約46,400人のニュージーランド国民が国を離れました。その大半は、よりよい収入と安定した仕事を求めて、タスマン海の向こうのオーストラリアへ渡っています。
- 業界では毎年およそ2,300人の新しいエンジニアが必要ですが、その数には遠く届いていません。卒業生に占める工学の学位の割合はOECD平均より低く、新卒エンジニアの3人に1人が2年以内にこの職業を離れています。
- いまニュージーランドで働くエンジニアのおよそ3人に1人は、海外で教育を受けた人です。この国の仕組みは、すでに海外からの人材に大きく頼っています。
業界団体の代表は、工事を減らすと、技能のある人がこの業界をやめたり、仕事の見通しが安定した国へ移ったりする、という悪循環をはっきり指摘しています。
技能が国外へ流れると何が起きるか
業界でよく例に出されるのが、オークランドのシティ・レール・リンク(City Rail Link)です。トンネルの掘削が終わると、100人を超えるトンネル掘削機のオペレーターが国を離れました。将来ワイテマタ湾(Waitematā Harbour)を渡るルートを造るときに同じ技能が必要になっても、人材をほぼゼロから育て直すことになります。人を国内にとどめるのは仕事の量だけでなく、仕事が途切れずに続くことだ、という高くついた教訓です。
技術者の専門団体も2025年の初めに、選挙のたびに揺らがない、先の見える仕事の流れが必要だと訴えました。そうであってこそ、技術者はキャリアを計画できます。
需要はまだ伸びていく見通し
これは一時的な波ではありません。ビジネス・イノベーション・雇用省(Ministry of Business, Innovation and Employment, MBIE)の全国建設予測では、インフラ工事の規模は2024年の$16.9 billionから、2030年までに$19.6 billionへ伸びるとされています。建設全体への支出は、2025年だけで$55.7 billionに達する見込みです。
交通分野を見ると、不足の大きさがよくわかります。当局は、この分野で2026/27年度までに約65,000人の働き手が必要になると見積もっていました。数年前の40,000人から大きく増えており、国内の働き手だけでは現実的に追いつけない速さだと、当局自身も認めています。
日本から応募するなら考えておきたいこと
エンジニア、建設のマネジメント、専門の職人の分野では、深刻な人手不足、伸び続ける需要、仕事の流れを確かなものにしたい政府、という条件がそろっています。こうした環境では、ビザの道筋、雇用主のスポンサーへの意欲、収入面の競争力がよくなる傾向があります。限られた有資格者を雇用主が取り合う競争は、海外からの応募者に有利に働きます。ただし、ビザが下りるかどうかは、それぞれの条件と審査しだいです。
ニュージーランドで雇用主によるビザスポンサーを受けて働く場合は、ワーキングホリデービザ(New Zealand Working Holiday)とは別の就労ビザになります。ワーホリで働いている職場でも、それは同じです。認定雇用主就労ビザ(Accredited Employer Work Visa, AEWV)の条件は、ニュージーランド移民局(Immigration New Zealand, INZ)の公式サイトで確認してください。日本で取った学位や資格がどう扱われるかは職種によって違うので、英文の卒業証明書や在職証明書を早めに用意し、名前のつづりはパスポートのローマ字にそろえておくと安心です。
募集中の仕事はビザスポンサー付きの求人一覧から探せます。お隣のオーストラリアの事情は、建設業の課題は人数だけではないという記事や、オーストラリアの建設業と移民制度の見直しについての記事で紹介しています。
よくある質問
ニュージーランドのエンジニアには、海外で学んだ人が多いのですか?
はい。いまニュージーランドで働くエンジニアのおよそ3人に1人は、海外で教育を受けた人です。海外からの人材は、すでにこの国の仕組みの一部になっています。
人手不足なら、ビザは下りやすいのですか?
人手不足の分野では、雇用主がスポンサーに前向きになる傾向はあります。ただし、ビザが下りるかどうかは、応募者それぞれの条件と審査で決まります。最新の条件は移民局の公式サイトで確認してください。
ワーキングホリデーで働いている職場に、そのまま残れますか?
ワーキングホリデービザは、雇用主によるビザスポンサーとは別のビザです。同じ職場で働き続けたい場合も、雇用主側の手続きを経て、就労ビザを新しく申請する必要があります。
仕事を紹介すると言ってお金を求められたら、どうすればいいですか?
仕事のオファーやスポンサーと引き換えにお金を払うことは、オーストラリアでもニュージーランドでも違法です。相談料や移民エージェントの費用は合法ですが、登録移民エージェントか認可移民アドバイザーにだけ、書面の契約と領収書のある形で払いましょう。ビザの取得を約束する話や、個人口座への急な振り込みには注意してください。
まとめ
- ニュージーランドには$200 billion近いインフラ計画がありますが、担い手が足りていません。
- 建設業の雇用は減り、多くの国民がオーストラリアへ移っています。
- 働くエンジニアのおよそ3人に1人は、海外で教育を受けた人です。
- インフラと交通の需要は、これからも伸びる見通しです。
- ワーキングホリデーとスポンサー付きの就労ビザは別のビザです。
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