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留学生を大きく減らしたら大学はどうなる?オーストラリアの削減案を日本の目線で読む

News · 2026-09-15 · 5 min read

日差しが注ぐオーストラリアの大学の中庭で、学生たちと女性講師が談笑する。

オーストラリアで、留学生の数を大きく減らそうという案が出ています。移民が増えすぎているという不安への答えとして示されたものですが、大学の関係者は強く反対しています。留学生を減らしたとき、オーストラリアは何を失うのか。大学側の主張と議論の背景を、日本からの留学や就労を考えている方に向けて整理します。

どんな案が出ているのか

政党のワン・ネーション(One Nation)が示した案では、留学生の数をおよそ590,000人から350,000人に減らします。さらに、卒業後もオーストラリアに残って働ける枠を、270,000人から40,000人に絞るとしています。党の代表は、大学を「ビザを出すための工場」のようなものだと批判しました。

ただし、これはあくまで一つの政党の案です。実際の制度がこのとおりに変わると決まったわけではありません。

大学側が心配していること

大学の業界団体は、この案の影響は入学者の数だけでは終わらないと主張しています。キャンパスの閉鎖に追い込まれる大学が出るかもしれません。国内の学生が入学しにくくなり、全国で大学の職員が仕事を失うおそれもあるといいます。留学生を移民問題の身代わりにする考え方そのものが間違っている、という反論も出ています。

国際教育の業界団体からは、別の視点も示されました。オーストラリアで学んで母国に帰った卒業生は、その国で影響力のある立場に就くことが多いという点です。留学生を減らせば、こうした長い目で見た国同士のつながりも、目立たないうちに弱まってしまいます。

あまり語られない大学のお金の仕組み

政治の議論ではあまり注目されませんが、オーストラリアの大学は長年、留学生の授業料で国内の学生の教育を支えてきました。これは偶然ではなく、仕組みとしてそうなっています。きっかけの一つは、2020年に始まったJob Ready Graduates政策です。国内の学生を教えるときに大学が受け取るお金の額が、この政策で変わりました。

大学の研究者が示した最新のデータでは、留学生の授業料は大学の収入全体の約27%を占めています。工学や医療系から人文系まで、あらゆる分野を支える大きな柱です。研究への影響もあります。国の研究開発の多くは大学が担っているため、留学生が急に減れば、研究の力が弱まるおそれがあると大学側は指摘しています。

削減を求める声が出てきた背景

こうした案が出てくるのには理由もあります。コロナ禍のあと、留学生の数は過去最多の水準まで増えました。学生のほぼ半分が留学生という大学もあり、地域や大学のあり方をめぐって疑問の声が上がりました。連邦政府は2年前にすでに留学生の数に上限を設けていて、どの政党が政策を決めることになっても、さらに制限が強まると大学側は身構えています。

一方で、何十年も党派を超えて支持されてきた移民の制度が、人気取りの争いの中で崩されかねないという見方もあります。一時的な移民も永住する移民も、経済の一部の問題ではありません。教育を含むさまざまな業界の仕組みに組み込まれています。農業が季節労働者やワーキングホリデーの若者に長く頼ってきたのと同じです。

研究に力を入れる主要大学のグループも、国の大きな輸出産業の一つを縮め、研究の基盤を弱め、優秀な海外の人材をほかの国へ向かわせることは、オーストラリアの将来を強くする方法ではないと訴えています。

日本の読者にとっての意味

オーストラリアへの留学を考えている方は、留学生の上限や卒業後に働ける枠が、今後の政治の動きで変わる可能性があることを知っておきましょう。案が出た段階で慌てる必要はありませんが、出願の前には最新の条件を確認することが大切です。

働くことが目的なら、学生ビザとは別に、雇用主がスポンサーになる就労ビザという道もあります。ワーキングホリデーも、雇用主によるビザスポンサーとは別のビザです。それぞれの違いはオーストラリアの就労ビザの解説ページで紹介しています。学生ビザの動きは学生ビザの見直しを取り上げた記事や学生ビザの不許可が増えている理由の記事もあわせてどうぞ。募集中の仕事はオーストラリアのビザスポンサー付きの求人から探せます。

よくある質問

留学生の削減はもう決まったのですか?

決まっていません。ある政党が示した案の段階です。ただし、連邦政府はすでに留学生の数に上限を設けていて、さらに制限が強まる可能性はあります。

なぜ大学は留学生の削減に反対しているのですか?

留学生の授業料が大学の収入の約27%を占め、国内の学生の教育や研究を支えているからです。キャンパスの閉鎖や職員の失業につながるおそれも指摘されています。

卒業後に働ける枠はどう変わる案ですか?

案では、卒業後もオーストラリアに残って働ける枠を、270,000人から40,000人に減らすとしています。実際の制度はまだ変わっていません。

オーストラリアで働くなら、留学するしかありませんか?

そうとは限りません。雇用主がスポンサーになる就労ビザで働く道もあります。応募は無料で、職業紹介料もかかりません。

まとめ

  • ある政党が、留学生を590,000人から350,000人に減らす案を示しました。
  • 留学生の授業料は大学の収入の約27%を占め、教育と研究を支えています。
  • 連邦政府はすでに上限を設けていて、さらに制限が強まる可能性があります。
  • 働くことが目的なら、雇用主がスポンサーになる就労ビザという道もあります。

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