ニュージーランド南島の病院で何が起きている?3か月分たまった休暇が示す人手不足
News · 2026-08-31 · 5 min read

ニュージーランドの医療現場の人手不足は、これまでも何度も話題になってきました。ところが、ニュージーランド保健公社(Health New Zealand)の南島地域でまとめられた内部の分析は、「看護師が足りない」という話以上のことを示しています。使われないまま積み上がった年次有給休暇、支払われない残業、後回しにされた代休。こうしたものが、人手不足の本当の大きさを見えにくくしているというのです。
看護師や医師、医療の専門職としてニュージーランドで働くことを考えている日本の方にとっても、職場を選ぶときのヒントになる話です。
人数だけでは見えないこと
内部の分析では、南島の医療の働き手はこの4年でかなり減り、特にこの12か月の減り方が大きかったとされています。ただし、この人数そのものには、保健公社自身も疑問を示しています。組織の再編で、支援部門や公衆衛生の職員の多くが、地区ごとの給与システムから全国のシステムに移ったためです。「いなくなった」人の一部は、医療の仕事を辞めたのではなく、数え方が変わっただけかもしれません。
それでも、休暇と残業のデータは別の事実を伝えています。
使われない休暇は平均3か月分
南島の医療従事者は、平均でおよそ3か月分の年次有給休暇を使わずに抱えています。次に多い地域の倍近くで、北部のノースランド(Northland)の5倍を超えます。上級医師はさらに多く、平均で5か月近く。同じ立場の医師の全国平均の3倍です。
休みを取らない人が多いのではなく、休ませる余裕が現場にないということです。これだけ積み上がると、休暇は働く人のためのものというより、いつか組織が負担することになる「先送りの負債」になります。休暇の買い取りか、疲れによる退職か、その両方かです。
残業がシフトを埋める決まったやり方に
残業にも同じ形が見えます。南島の看護師は、地域の残業時間の大半を占める大量の残業を抱え、それとは別に、取られていない代休もためています。2022年からは減ってきていますが、分析はこれを良い兆しとは見ていません。残業がなくなったのではなく、シフトを埋めるための決まったやり方として定着した、という見方です。一時的な忙しさをしのぐためではなく、足りない人手を、今いる職員の時間で埋め続けているのです。
減ったのは事務や支援の仕事
意外なことに、人が大きく減ったのは看護師や医師、助産師ではありませんでした。減り方が大きかったのは、事務、管理、そして患者のケアや支援にあたる職種です。書類の上では効率化に見えるかもしれません。しかし分析は、以前ほかの人が担っていた調整や支援の仕事を、臨床の職員が引き受けている可能性が高いと注意を促しています。
地域の中でも差があります。職員が増えた地区もあれば、規模の大きい地区を含めて減った地区もあり、負担は一様ではありません。
日本から医療の仕事を目指す方へ
働く人が休暇を取れない状態は、人手不足が先の話ではなく、すでに起きているサインです。海外で研修を受けた看護師や医師、医療の専門職を迎えることは、空いたポストを埋めるだけでなく、今いる職員が休みを取れるようにするためにも大切だと考えられています。
ただ、働く側から見ると、人手が足りない職場は負担が大きくなりがちです。応募や面接の段階で、次の点を聞いておくと安心です。
- シフトの組み方と、残業がどのくらいあるか。
- 休暇が実際に取れているか。
- 事務や調整の仕事を誰が担っているか。
- 新しく来た人の受け入れや研修の流れ。
医療の仕事では、職種によってニュージーランドでの登録や資格の確認が求められます。日本の免許、卒業証明書、在職証明書の英語版を早めに用意し、氏名のつづりはパスポートのローマ字にそろえておきましょう。雇用主によるビザスポンサーでは、主に認定雇用主就労ビザ(Accredited Employer Work Visa, AEWV)が使われます。
ニュージーランドの仕事の動きは、ニュージーランドの最新の雇用データについての記事や、海外からニュージーランドに戻る人たちについての記事でも紹介しています。ビザの流れはAEWVのビザガイド、募集中の仕事はビザスポンサー付きの求人一覧で確かめられます。
よくある質問
南島の医療従事者は、どのくらい休暇をためているのですか?
平均でおよそ3か月分の年次有給休暇が使われずに残っています。上級医師は平均で5か月近くです。
医療の働き手は本当に減っているのですか?
この4年で減り、特にこの12か月の減り方が大きかったとされています。ただし組織の再編で数え方が変わったため、人数の正確さには保健公社自身も疑問を示しています。
人が減ったのはどの職種ですか?
看護師や医師、助産師ではなく、事務、管理、患者のケアや支援の職種で減り方が大きくなっています。その分の仕事を臨床の職員が担っている可能性が指摘されています。
ワーキングホリデーで医療の仕事をしていれば、スポンサーを受けられますか?
ワーキングホリデービザは、雇用主がスポンサーになる就労ビザとは別のビザです。スポンサーを受けるには、雇用主側の手続きを経て、就労ビザを新しく申請する必要があります。
まとめ
- 南島の医療従事者は、平均でおよそ3か月分の休暇を使えずにいます。
- 残業は一時的なものではなく、シフトを埋める決まったやり方になっています。
- 大きく減ったのは事務、管理、ケアや支援の職種です。
- 働き手の人数は、組織の再編で数え方が変わった点に注意が必要です。
- 応募するときは、シフト、休暇、受け入れの体制を確かめましょう。
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