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日本と同じ道は避けたい?オーストラリアの40年計画が移民を柱にする理由

News · 2026-09-22 · 5 min read

シドニーの港沿いを、世代の異なる日本人の男女4人が笑顔で語らいながら歩く。

日本に住んでいると、少子高齢化は毎日のように耳にする言葉です。オーストラリアでも同じ課題が議論されていますが、政府の出した答えは日本とは少し違います。新しい世代間報告書(Intergenerational Report、IGR)は、財政赤字の厳しい数字ばかりが話題になりがちです。ただ、海外で働くことを考える人にとって大事なのは、その少し奥に書かれている点です。オーストラリアは、計画的な移民を続けなければ国を保てないと、事実上認めたのです。

2060年代、亡くなる人が生まれる人を上回る

政府の公式な長期試算では、2060年代にはオーストラリアで1年に亡くなる人の数が、生まれる人の数を上回ると見込まれています。出生率は半世紀以上にわたって人口を保てる水準を下回っており、報告書は想定をさらに引き下げました。2023年の女性1人あたり1.62人から、2065-66年度には1.34人になるという見通しです。

このまま何もしなければ、日本、ドイツ、イタリア、韓国と同じ道をたどることになります。いずれも、人口の高齢化の重みで経済が縮み始めている国です。オーストラリアがその道を進んでいない理由は、純海外移民(net overseas migration、NOM)にあります。報告書は、今後40年間、毎年235,000人の純海外移民を前提にしています。この数字は補足ではなく、40年の経済見通し全体を支える柱です。

若い移民が働き手の高齢化をゆるめる

報告書には見落とされがちな点があります。新しく来る移民の年齢の中央値は26歳で、すでに住んでいる人の38歳よりかなり若いのです。移民は人口の数を増やすだけでなく、働き手全体の高齢化をゆるめる最大の手段になっています。

移民がなければ、報告書が見込む15〜64歳の働く世代の増加は起こりません。オーストラリアは、今世紀半ばまで労働力が増え続けると見込む数少ない先進国の一つで、その増加のほとんどを移民が担っています。

介護や医療の仕事が広がる見通し

報告書がはっきり挙げている変化の一つが、「ケアエコノミー」への移行です。医療、障がい者支援(NDIS)、高齢者介護の分野がそろって大きくなります。65歳以上の人口はほぼ倍増し、85歳以上の人口はそれをさらに上回る勢いで増える見込みです。

こうした分野は、現場で直接介護にあたる職員から医療の専門職まで、これまでも移民の働き手に大きく頼ってきました。需要が見通しどおりに増えれば、介護に関わる職種への技能移民の道は、オーストラリアのビザ制度の中でますます中心的な位置を占めていくと考えられます。日本で介護や看護の経験を積んできた方にとって、注目しておきたい流れです。

明るい見通しも、移民が前提

報告書には前向きな数字も並びます。2065-66年度までに経済の規模は倍になり、実質所得は55%高くなり、失業率は4.25%前後で落ち着くという見通しです。ただ、これらはすべて同じ前提の上に成り立っています。受け入れが年235,000人を大きく下回れば、高齢化はより速く進みます。将来の政府支出を押し上げる大きな要因とされる医療と介護の費用も、税金を納める働く世代が少ない中で、より早く、より重くのしかかることになります。

政治の動きで変わる可能性は?

注意しておきたいのは政治の動きです。報告書は年235,000人を基本の前提にしていますが、保守連合(Coalition)とワン・ネーション(One Nation)は、受け入れをこの数字よりかなり少なくすることを掲げてきました。政府が支持する経済の試算と、野党側が打ち出す政策が、正面からぶつかっている形です。

これからの数回の選挙で見ておきたいのは、人口見通しの数字そのものではありません。その見通しを可能にする受け入れの水準が、国内の政治の中で保たれるかどうかです。

日本から考えるときのポイント

報告書は、移民がオーストラリアに、高齢化の進むほかの国にはない「人口面の強さ(demographic resilience)」を与えていると明記しています。日本の方がオーストラリアで働く道の一つが、雇用主によるビザスポンサーです。オーストラリアの求人では、職種ごとの条件を確認できます。ワーキングホリデーで現地にいる方も、ワーキングホリデーは雇用主によるビザスポンサーとは別のビザだという点を押さえておきましょう。

介護や医療の経験は、担当した業務や身につけた技能を英文CVに具体的にまとめておくと、応募の準備が進みます。英文CVの準備はBuild AI CVで進めることもできます。オーストラリアの人口と移民については、移民を減らした場合の財政への影響を取り上げた記事や世代間報告書と海外の働き手の記事でも紹介しています。

よくある質問

世代間報告書とは何ですか?

オーストラリア政府が、今後40年の経済や人口の見通しをまとめた報告書です。今回の報告書では、移民が長期の見通し全体を支える前提になっています。

毎年どのくらいの移民が想定されていますか?

純海外移民で毎年235,000人です。報告書は、この水準が今後40年間続くことを前提にしています。

なぜ若い移民が大切なのですか?

新しく来る移民の年齢の中央値は26歳で、すでに住んでいる人の38歳より若いからです。働く世代を増やし、社会全体の高齢化をゆるめる役割を果たしています。

介護の仕事の需要は増えますか?

報告書は、医療、障がい者支援、高齢者介護の「ケアエコノミー」が大きくなると見ています。見通しどおりになれば、介護に関わる職種への移民の道はより重要になると考えられます。

政治の動きで受け入れ数が変わることはありますか?

可能性はあります。保守連合とワン・ネーションは受け入れを235,000人より大きく減らすことを掲げており、今後の選挙の結果が注目されます。

まとめ

  • 2060年代には、オーストラリアで亡くなる人が生まれる人を上回る見通しです。
  • 世代間報告書は、毎年235,000人の純海外移民を40年の見通しの前提にしています。
  • 新しく来る移民の年齢の中央値は26歳で、働き手の高齢化をゆるめています。
  • 医療や介護の分野では、移民の働き手がさらに必要になる可能性があります。
  • 仕事は求人一覧から探せます。応募は無料です。

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