オーストラリアで学位を取れば専門の仕事に就ける?日本の留学生が知っておきたい政府調査
News · 2026-10-07 · 5 min read

オーストラリアで学位を取れば、その分野の仕事に就ける。日本から留学を考える方やそのご家族の多くが、そう期待しているかもしれません。ところが、オーストラリア政府の調査で、現地で働く留学生出身の卒業生の半数以上が、自分の技能レベルより低い仕事に就いていることが分かりました。留学の費用を払う前に、知っておきたい内容です。
政府機関が10年以上追いかけた調査
調査を行ったのは、政府機関のJobs and Skills Australiaです。2025年9月に公表した「International Students Pathways and Outcomes Study」では、2010〜11年にオーストラリアで学び始めた留学生を、2023年末まで追いかけました。対象は2023年末までの制度なので、その後の移民戦略(Migration Strategy)による変更の影響は含まれていません。それでも、留学生の数をめぐる議論が再び強まる2026年、この結果に改めて注目が集まっています。
仕事はあっても、専門を生かせるとは限らない
いちばん大きな発見は、仕事の中身です。最も高い職業技能レベルに当たる資格を持つ留学生出身の卒業生のうち、半数以上がそれより低い技能の仕事をしていました。国内の卒業生で資格より低い仕事をしている人は、約20〜30%でした。
オーストラリアに残った卒業生は、学んだ分野で仕事を見つけにくい傾向もありました。特に大学などの高等教育を出た人は、職業教育訓練(VET)を出た人よりも、その傾向が強く出ています。収入も、同じ資格を持つ国内の卒業生と比べると、平均で低くなっていました。
永住権を得た人はどのくらいいたか
2010年代の初めに学び始めた留学生のうち、10年以内に永住権を得たのは約35〜40%でした。税と雇用のデータで追跡できた高等教育とVETの卒業生に絞ると割合は高く、半数以上が10年以内に永住権を得ています。残れた人は多くても、残ったことがそのまま専門の仕事につながったわけではない、ということです。
卒業生の前にある壁
調査は、次のような壁を挙げています。本人の側の課題もあれば、雇用主の側の課題もあります。
- 英語力
- オーストラリアでの実務経験の少なさ
- 一時ビザの人を雇うことへの雇用主の不安
- 海外での経験が認められにくいこと
- 採用での偏見
- 留学生出身者はすぐ働ける準備ができていない、と見る一部の雇用主
日本の留学生が卒業前にできること
雇用主の考え方は変えられませんが、いくつかの壁には卒業前から備えられます。
英語力の証明もその1つです。卒業後に就労ビザで働くことを考えるなら、就労ビザで求められる英語試験の点数と技能審査のガイドも確かめておきましょう。
- 英語は試験のためだけにしない。学校やビザ、雇用主からIELTSやPTEを求められる場合も、面接や職場で使う力として伸ばし続けましょう。PractiseNowで英語試験の練習をするのも一つの方法です。
- 現地での経験を積む。専攻に関係するインターンシップや実習、アルバイトを探し、卒業するころにはオーストラリアでの経験を書けるようにしておきます。
- 英文CVを整える。日本での学歴や仕事の経験を、オーストラリアの雇用主がすぐ分かる形で書きます。Build AI CVで応募用の英文CVを作ることもできます。
- 書類を早めにそろえる。英文の卒業証明書や成績証明書、在職証明書を用意し、名前はパスポートと同じローマ字表記にそろえます。ビザや雇用主から警察の証明書を求められたら、日本の犯罪経歴証明書(Police Certificate / Certificate of Criminal Record)を早めに申請しましょう。
オーストラリア留学の基本情報は、政府のStudy Australiaのサイトで確かめられます。学生ビザの審査が厳しくなっている点は、学生ビザの不許可が増えている理由を解説した記事も参考になります。
オーストラリアがこの結果を重く見る理由
留学生は、人手が足りない分野の働き手になり得る存在として見られるようになっています。2023〜24年度には、留学生教育がオーストラリア経済に$50 billion以上をもたらしました。Jobs and Skills Australiaは、残った卒業生は将来の労働力に大きく貢献できるものの、専門の仕事にうまく移れていないことがその力を抑えており、卒業後の就職の改善が欠かせないとしています。
政治の議論も続いています。留学生を大きく減らすべきだという声がある一方で、政府側は、多くの留学生は帰国しており、医師や看護師のように国に必要な職業で卒業生の一部に残ってもらうのは理にかなっている、という立場です。一部の質の悪い教育機関が制度を悪用しようとしたことも認めています。
- 政府は、2026年の新規留学生の受け入れ計画を295,000人とし、2027年も同じ水準を保つとしています。
- 教育省(Department of Education)の数字では、今年の新規入学者は2025年の同じ時期より8%少なく、2019年と比べると13%低い水準です。
移民をめぐる数字の読み方は、オーストラリアへの移住をデータで見直した記事でも紹介しています。
留学ではなく、仕事で行く道も
「学位より、まず現地で働きたい」という方には、雇用主によるビザスポンサーで働く道もあります。ワーキングホリデービザは、雇用主がスポンサーになる就労ビザとは別のビザなので、混同しないようにしましょう。JobsAbroad Japanの募集中のビザスポンサー付きの求人から、自分の経験に合う仕事を探せます。応募は無料です。
よくある質問
この調査は、今の制度にも当てはまりますか?
調査が対象にしているのは、2023年末までの制度です。その後の移民戦略による変更の影響は含まれていません。それでも、卒業後の就職の難しさを知る手がかりにはなります。
オーストラリアに留学すれば、永住権を得られますか?
約束されるものではありません。調査では、2010年代の初めに学び始めた留学生のうち、10年以内に永住権を得たのは約35〜40%でした。
日本での仕事の経験は、オーストラリアで評価されますか?
調査は、海外での経験が認められにくいことを壁の一つに挙げています。英文CVや英文の在職証明書で、日本での仕事の内容を具体的に伝えられるようにしておくと役立ちます。
まとめ
- 留学生出身の卒業生の半数以上が、技能より低いレベルの仕事に就いていました。
- 国内の卒業生で同じ状況にある人は、約20〜30%でした。
- 英語力、現地での経験、一時ビザへの雇用主の不安などが壁になっています。
- 英語、現地での経験、英文CV、英文の書類は、卒業前から準備できます。
- 働くことが目的なら、ビザスポンサー付きの求人という道もあります。
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