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移民を減らすか、人を呼ぶか:オーストラリアの論争は日本人の海外就職にどう関わる?

News · 2026-08-21 · 5 min read

シドニー港を望む設計事務所で、橋の模型を囲んで話し合う日本人の男女3人。

オーストラリアで働くことを考えている日本の方にとって、気になる動きが続いています。政治の世界では、移民の受け入れを絞る案が次々に出ています。一方で、国内の大きな企業や業界団体は、今技能のある移民を減らせば、経済を支える事業が止まりかねないと強く訴えています。

政治の側で出ている主な案

連邦政府は、移民の新たな抑制策を検討しています。その一つが、技能移民の家族の手続きを、本人と一緒ではなく国外で進めるという案です。

野党側では、住宅政策を担当する議員が、バックパッカーと留学生を対象にした「控えめな」削減を口にしました。ただ、この案は影の内閣で事前に了承されたものではなく、同じ党の議員も驚いたとされています。

少数政党の中には、もっと大きな削減を求める党もあります。ある党は、永住者の受け入れ枠を今の185,000人からおよそ130,000人に減らすべきだと主張しています。ただし、国内に許可なく滞在しているとする約75,000人以外に、どのビザの枠を減らすのかは示していません。

産業界はなぜ反対するのか

経営者の団体は、受け入れを絞ることに否定的です。大手の産業団体(Australian Industry Group)のトップは、技能を持つ働き手を求めているのはオーストラリアだけではないと指摘します。制度を使いにくくすれば、人材はほかの国へ流れてしまうという考えです。クイーンズランド州のオリンピック関連のインフラのように、移民の働き手なしには人をそろえられない大型工事もあると述べています。

資源業界も同じ考えです。鉱業の業界団体(Minerals Council)は、今動いている事業と承認済みの事業を予定どおり進めるだけで、今後3年間に約40,000人の移民の働き手が追加で必要だと見ています。海外から迎えた働き手は2021年から倍以上に増えましたが、それでも人手不足は続いています。特に西オーストラリア州では、移民の働き手が州の経済にとって国内のどこよりも重要だとされ、今後れを取ると取り戻すのは難しいという声が出ています。

鉱業界は、政治と政策の中身を分けて考えています。業界の大口献金者が削減を訴える政党を支援していても、人材の確保と合わない移民政策には反対するという立場です。

すでに始まっている変化:ワーキングホリデーの審査

大きな案が話題になる裏で、現場ではすでに変化が起きています。内務大臣は、ワーキングホリデービザの申請の審査が以前より遅くなっていることを認めました。理由は詳しく説明されていません。

経済団体は、この影響を軽く見てはいけないと警告しています。地方や農業の現場では、バックパッカーなどの一時的な働き手が、永住の移民では埋まらない穴を柔軟に埋めているからです。

内務大臣は、別の問題との関係にも触れました。太平洋オーストラリア労働移動制度(Pacific Australia Labour Mobility, PALM)で働く人の保護を強めたところ、一部の雇用主がバックパッカーを雇う方向に切り替えたといいます。大臣は、それでは保護を強めた意味がなくなると述べています。

日本から働きに行きたい人はどう考えればいいか

背景には、住宅費の高さから来る目先の政治的な圧力と、長い目で見た経済の力とのせめぎ合いがあります。今のところ、移民の受け入れ数について細かい計画を示した案はどこからも出ていません。企業も、決まった政策ではなく先の読めない状況を前提に計画を立てています。働く側も、いくつかの道を用意しておくと安心です。

  • ワーキングホリデーで行く予定なら、審査が以前より遅くなっていることを前提に、余裕を持って申請しましょう。
  • ワーキングホリデーは、雇用主によるビザスポンサーとは別のビザです。長く働きたい場合は、スポンサーをしてくれる雇用主を探す必要があります。
  • 大型のインフラ工事、資源業界、地方の産業は、人手不足が強く指摘されている分野です。日本での現場経験を英文CVにまとめておきましょう。
  • 英文の卒業証明書や在職証明書、雇用主やビザが求める場合はIELTSやPTEの準備も早めに進めておきます。

地方の農場の仕事に興味があるワーキングホリデー中の方は、Seasonal Jobs Australiaで季節の仕事を探せます。雇用主によるビザスポンサーを受けて働きたい方は、JobsAbroad Japanの求人一覧をご覧ください。応募は無料です。移民をめぐる議論の背景は技能を持つ人に向けた移民論争の解説、ワーキングホリデーの動きはワーキングホリデー制度の見直しについての記事でも紹介しています。

よくある質問

オーストラリアは移民の受け入れを減らすのですか?

削減の案はいくつか出ていますが、細かい数字の計画を示した案はまだありません。どれも提案の段階なので、今後の政府の発表を確認していきましょう。

ワーキングホリデーの審査は遅くなっていますか?

内務大臣が、以前より審査が遅くなっていることを認めています。理由は詳しく説明されていないため、渡航の予定には余裕を持たせると安心です。

どんな分野で人手が足りないとされていますか?

大型のインフラ工事、資源業界、地方や農業の現場などです。鉱業の業界団体は、今後3年間に約40,000人の移民の働き手が追加で必要だと見ています。

仕事のオファーをもらうためにお金を払う必要はありますか?

ありません。仕事のオファーやスポンサーと引き換えにお金を払うことは、オーストラリアでは違法です。ビザの相談料などを払う場合は、登録移民エージェントに、書面の契約と領収書のもとで払いましょう。

まとめ

  • 政治の側では移民を減らす案が相次いでいますが、細かい計画はまだ示されていません。
  • 産業界は、人手不足を理由に削減に反対しています。
  • ワーキングホリデービザの審査は、以前より遅くなっています。
  • ワーキングホリデーと雇用主によるビザスポンサーは別のビザです。両方の道を早めに調べておきましょう。

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