オーストラリアの成長は移民が支える?世代間報告書から読む、これから人が必要な仕事
News · 2026-09-28 · 5 min read

オーストラリアの連邦政府は3年ごとに、40年先の国の姿を見通す報告書を出しています。世代間報告書(Intergenerational Report, IGR)です。最新の報告書がはっきり示したのは、これからの成長の多くを、この国に移り住む人たちが支えるという見方でした。少子高齢化は日本でもよく聞く言葉ですが、オーストラリアはその課題に移民で向き合おうとしています。
子どもが減っても、人口が増え続ける理由
オーストラリアでも、生まれる子どもの数は減っています。報告書は、出生率が2065–66年度には女性1人あたり1.34まで下がると見込んでいます。一つ前の報告書が想定していた1.62を大きく下回る数字です。2060年代には、亡くなる人の数が生まれる人の数を初めて上回る見通しです。
それでも人口は増え続け、2065–66年度には39.3 million人に達すると予測されています。その差を埋めるのが純海外移民(net overseas migration)で、報告書は長い目で見て年平均235,000人と想定しています。報告書はこれを「人口面の強さ(demographic resilience)」と呼び、すでに亡くなる人が生まれる人を上回っているドイツ、イタリア、韓国と比べています。
若い移民が、働く世代を支える
報告書は、最近移り住んだ人の年齢の中央値がおよそ26歳で、もともと住んでいる人の38歳よりかなり若いと指摘しています。この差があるからこそ、15歳から64歳の働く世代の人口は、他の多くの国で減っていく中でも増え続けると見込まれています。
それでも、高齢化の流れは大きなものです。年齢の中央値は2062–63年度までに38.6歳から45歳へ上がる見通しです。65歳以上の人はほぼ2倍に、85歳以上の人はほぼ3倍に増えると予測されています。高齢の人が増えれば、医療や介護の需要も増え、その仕事を担う人が必要になります。
これから人が必要になりそうな分野
報告書は、経済の形を変えていく大きな流れをいくつか挙げています。どれも、この国がこれから必要とする技能につながっています。
| 分野 | 背景 | 求められそうな人材 |
|---|---|---|
| 介護・ケア | 高齢化による需要の増加 | 看護師、高齢者介護の職員、医療専門職、障がい者支援の職員 |
| エネルギーの転換 | 2050年の温室効果ガス排出実質ゼロ目標。重要鉱物、グリーン水素、グリーン金属で「再生可能エネルギー大国」を目指す | エンジニア、技術者、技能職、プロジェクトの専門家 |
| AIとデジタル化 | 結果はまだ不透明だが、価値の高い技能や働き方を変える | 変化に合わせて技能を伸ばせる人 |
| サービス中心の経済 | 成長がサービス業へ移っていく | 専門職、技術職、人と接する仕事 |
経済の見通しと、暮らしの課題
経済成長は、主に高齢化の影響で、年3%ほどから2%ほどへ緩やかになる見通しです。それでも経済の規模は2065–66年度までに今の2倍を超え、実質の1人あたり所得は55%増えると予測されています。平均寿命は女性89.5歳、男性86.1歳に達する見込みです。
移住を考える人から見れば、安定した豊かな経済と、しっかりした公的医療、長い平均寿命がそろった国と言えます。ただし報告書は、若い世代にとっての住宅の買いにくさや、政府支出の増加といった課題も率直に挙げています。
235,000人は約束ではない
年平均235,000人という数字は、あくまで想定です。野党とワン・ネーション(One Nation)は、政権を取れば移民の数を大きく減らす考えを示しています。移民の受け入れ方、ビザの種類、優先される分野は、政権や予算によって変わることがあります。
だからこそ、準備とタイミングが大切です。ルールや職業リストは動くので、最新の情報をもとに、しっかり準備した申請をすることが結果を左右します。
日本からオーストラリアで働くことを考えている方へ
- 今求められている技能が、将来も同じとは限りません。介護、エネルギー、テクノロジーなど、報告書が長く人が必要になると見ている分野に目を向けてみましょう。
- 政策は動きます。以前のルールに頼らず、今のビザの条件を確かめてください。
- 早めに始めましょう。技能審査(スキルアセスメント)、英語の試験、書類の準備には時間がかかります。
日本の資格や経験が評価されるかどうかを考えるときは、RPLDirectの資格認定の情報が参考になります。IELTSやPTEの点数が必要な場合は、PractiseNowで英語試験の練習を進めておくと安心です。卒業証明書や在職証明書は英語版を用意し、名前の表記はどの書類もパスポートのローマ字にそろえておきましょう。
雇用主がスポンサーになる就労ビザの仕組みは、技能不足ビザ「Skills in Demand ビザ」の解説にまとめています。ワーキングホリデービザは、雇用主によるビザスポンサーとは別のビザなので注意してください。募集中の仕事はオーストラリアのビザスポンサー付きの求人から探せます。高齢化と移民の関係は高齢化と移民の役割を考えた記事で、人口の見通しは人口予測を読み解いた記事でも取り上げています。
よくある質問
世代間報告書とは何ですか?
オーストラリアの連邦政府が3年ごとに出す報告書で、40年先の人口や経済の姿を見通します。最新の報告書は、成長の多くを移民が支えると見ています。
移民の受け入れ数は、年235,000人で決まっているのですか?
決まっていません。235,000人は報告書の想定で、政権や予算によって移民の受け入れ方は変わることがあります。
どんな分野で人が必要になりそうですか?
報告書は、介護・ケア、エネルギーの転換、AIとデジタル化、サービス中心の経済を挙げています。看護師や介護の職員、エンジニアや技能職などが例です。
ワーキングホリデーで働いていれば、スポンサーを受けたことになりますか?
なりません。ワーキングホリデービザは、雇用主によるビザスポンサーとは別のビザです。
求人への応募にお金はかかりますか?
応募は無料です。職業紹介料もかかりません。
まとめ
- 出生率は下がっても、人口は移民によって増え続ける見通しです。
- 報告書は純海外移民を年平均235,000人と想定していますが、約束ではありません。
- 高齢化で、介護や医療の仕事を担う人がますます必要になります。
- エネルギーの転換やデジタル化も、新しい技能の需要を生みます。
- 技能審査や英語の試験、書類の準備は早めに始めましょう。
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