AIで事務の仕事が減っていく中、日本からオーストラリアで働くならどの職種が強い?
Tips · 2026-09-02 · 5 min read

AIが人の仕事を奪うという話題は、これまでアメリカの大企業のニュースとして語られることがほとんどでした。ところが、同じ流れがオーストラリアにも少しずつ届き始めています。日本からオーストラリアで働くことを考えている方にとって、これは職種の選び方やビザの道筋に関わる話です。
アメリカでは事務系の仕事が目に見えて減っています
アメリカの主要企業でつくるS&P 500の企業は、2025年にホワイトカラーの職をおよそ400,000人分減らしました。年単位で減ったのは10年ぶりのことです。大手IT企業や物流大手が先頭に立ち、2026年に入っても人員を絞り続けている会社があります。これまで若手のアナリストやサポート担当、事務チームがこなしていた作業を、AIのツールが引き受けるようになったためです。
特に影響が大きいのが、問い合わせ対応の仕事です。アメリカでは過去3年間で、カスタマーサポートとコールセンターの仕事の約16.4%、およそ123,700人分がなくなりました。決まった内容の問い合わせを、AIが処理するようになったからです。
オーストラリアはアメリカの少し後ろを追いかけています
シドニー大学ビジネススクールの教授は、この変化を急な崩壊ではなく、少しずつ削られていく「浸食」だと説明しています。そして、同じ形の変化がオーストラリアの雇用データにも早くも表れ始めていると指摘しています。事務、経理・財務、基本的な分析、顧客サポートといった仕事で、求人の勢いが落ちてきているのです。アメリカに比べると、まだ少し遅れている段階です。
オーストラリアでは、カスタマーサポートやコールセンターの仕事に約210,000人が就いています。アメリカと同じ流れが続けば、この分野でどれほどの影響が出うるのかを考える目安になります。
影響を受けやすい仕事、強さを保つ仕事
慌てる必要はありませんが、作戦は必要です。影響を受けやすいのは、入門レベルの決まった作業です。基本的な事務、最初の窓口になる顧客対応、くり返しの多い分析作業は、AIがもっとも得意とする分野です。日本でこうした仕事をしてきた方が、その職種だけでオーストラリア行きを計画しているなら、別の道や技能を伸ばす計画も持っておくと安心です。
反対に、強さを保っているのは、専門性が高く、人と向き合い、判断が求められる仕事です。規制の知識、複雑な問題の解決、現場にいること、取引先との関係づくりが必要な仕事は、AIに置き換えにくいからです。こうした職種は、オーストラリアの技能職リストと重なることも多くあります。医療、エンジニアリング、建設や設備などの職人の仕事、専門的な技術職がその例です。
雇用主によるビザスポンサーのビザや、ポイント制の技能ビザでも、本当に人が足りない技能が評価される傾向が強まっています。AIで一般的な事務職の需要が縮むほど、置き換えにくい専門性の価値は上がっていくと考えられます。
日本で積んだ経験を英語の書類で伝える
オーストラリアは、アメリカより変化の手前にいるとされています。そのため、伸びが続きそうな分野に今から身を置く時間がある、という見方もできます。日本で看護師、溶接工、電気工事士、エンジニアなどとして働いてきた方は、その経験をきちんと英語で示せるようにしておきましょう。
- 英文の卒業証明書と在職証明書を早めに用意し、担当した業務が分かるようにしておく
- 名前のつづりは、すべての書類でパスポートのローマ字にそろえる
- 職種によっては技能審査(スキルアセスメント)が必要になるため、日本の資格がどう評価されるかを調べておく
- ビザや雇用主が求める場合に備えて、IELTSやPTEの準備を始める
なお、ワーキングホリデーのビザは、雇用主によるビザスポンサーとは別のビザです。長く働く道を考えるなら、ビザスポンサー付きの求人に目を向けることになります。
大げさな見出しに振り回されないために
同じ教授は、大手IT企業が語る「AIが何百万もの仕事を置き換える」という話には誇張が多く、割り引いて聞くべきだとも述べています。実際の変化はもっとゆっくりで、分野ごとにばらつきがあります。すべての仕事が一気になくなるのではなく、一部の職種で求人が少しずつ冷えていく、というのが実態に近い姿です。
大切なのは、AIを怖がることではなく、長く必要とされる職種と道筋を選ぶことです。オーストラリアで働く道を考えるなら、縮んでいく仕事を追いかけるより、伸びている仕事に合わせて準備するほうが現実的です。
募集中の仕事はビザスポンサー付きの求人一覧から探せます。職人の仕事が移住の道として注目される理由は職人の技能移民についての記事で、AI業界の団体が求める技能移民の見直しはAI業界団体の提言を取り上げた記事で紹介しています。日本の資格や経験が技能審査でどう見られるかを知りたい方は、RPLDirectの資格認定の英語サイトも参考になります。
よくある質問
AIのせいで、オーストラリアの仕事はもう減っていますか?
一部の分野で、求人の勢いが落ち始めている段階です。事務、経理・財務、基本的な分析、顧客サポートで変化が見られますが、アメリカよりは遅れています。
コールセンターの経験しかない場合はどうすればいいですか?
この分野はAIの影響を受けやすい仕事です。オーストラリアで働く計画を立てるなら、別の職種への道や、技能を伸ばす計画もあわせて考えておくと安心です。
どんな職種がAIに強いと考えられていますか?
規制の知識、複雑な問題の解決、現場での作業、人との関係づくりが必要な仕事です。医療、エンジニアリング、職人の仕事、専門的な技術職などが挙げられています。
求人への応募にお金はかかりますか?
応募は無料です。職業紹介料もかかりません。
まとめ
- アメリカでは2025年にホワイトカラーの職が大きく減り、オーストラリアにも同じ流れが届き始めています。
- 影響を受けやすいのは、決まった作業の多い事務やサポートの仕事です。
- 医療、エンジニアリング、職人の仕事など、置き換えにくい専門性の価値は高まると考えられます。
- 日本での経験は、英文の証明書や英語試験の準備で伝わりやすくなります。
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