← すべての記事

移民の上限は住宅の数で決まる?保守連合の案が日本の技能者に意味すること

News · 2026-08-25 · 5 min read

建設中の住宅を望むオーストラリアの職場で、建築模型を囲んで話し合う日本人の男女三人。

オーストラリアで、移民の受け入れ数がまた政治の大きな話題になっています。今回の論点はわかりやすく、それでいて影響の大きいものです。新しく来る人の数を、実際に建てられる住宅の数に結びつけるという考え方です。これからオーストラリアで働くことを考えている日本の方にとっても、海外の人材に頼る雇用主にとっても、目が離せない動きです。

住宅1戸につき1人という上限案

野党の保守連合(Coalition)は、純海外移民(net overseas migration)を、新築住宅1戸につき新しく来る人1人という割合で抑える案を示しました。人口の伸びを住宅を供給できる力に合わせるためだと説明しており、受け入れ数は2022-23年度の過去最多の水準より70%を大きく下回ることになるとしています。

大事なのは、どのビザの区分を減らすのかがまだ決まっていない点です。その中身は、保守連合が政権を取った場合に詰めることになっています。今の段階では、あくまで野党の案です。

移民の数はすでに減っています

数字を並べてみると流れがわかります。オーストラリア統計局(ABS)の数字では、純海外移民は2022-23年度に538,000人で過去最多となり、翌年は429,000人、2025年6月までの1年では306,000人まで減りました。減る流れはすでに始まっていて、焦点は、将来の政府がそれをどこまで、どれだけ早く進めるかにあります。

産業界は技能移民を守る立場

目を引くのは、経済団体が移民の引き締めそのものに反対しているわけではないことです。そのかわり、技能移民についてははっきり線を引いています。オーストラリア産業グループ(Australian Industry Group)は、今の技能移民の仕組みはほぼ適切で、大事なのは一律に減らすことではなく、雇用主が必要なときに必要な技能を早く正確に呼び込むことだという立場です。

オーストラリア商工会議所(Australian Chamber of Commerce and Industry)も、より広い視点で同じ考えを示しています。移民政策は、社会の信頼やまとまりと、うまく運営された制度がもたらす経済の利点とのバランスを細かく調整する必要があり、その中で雇用主の需要も考えに入れ続けるべきだという主張です。

日本から技能を生かして働きたい人にとっての意味

この議論からわかるのは、二大政党も産業界も、技能移民の道は削りたくないと考えているらしいということです。全体の移民数が減っても、雇用主によるビザスポンサーや技能をもとにしたビザは、守るべき部分として位置づけられています。国内だけでは埋められない人手の穴がある、と企業が訴えているからです。

ただ、「守られる」は「影響を受けない」という意味ではありません。将来の政府がビザの区分を組み直せば、技能移民の枠を大きく残したままでも、条件、審査の期間、職種リストが厳しくなることはありえます。技能移民の道を考えている方は、資格の書類や英文の在職証明書など、準備できるものは早めに整えておくと安心です。

なお、ワーキングホリデーで今オーストラリアにいる方も、ワーキングホリデービザ(Working Holiday visa)は雇用主がスポンサーになる就労ビザとは別のビザだという点は覚えておきましょう。スポンサーを受けるには、雇用主側の手続きと新しいビザの申請が必要です。

見落とされがちな建設の人手不足

この議論の中で、とくに目を引く指摘が不動産業界から出ています。オーストラリア不動産協議会(Property Council of Australia)は、これまで長いあいだに来た技能移民のうち、建設関係の職人の技能を持っていた人はごく一部にすぎないと指摘しました。建設は、人手不足がもっとも深刻な業界の1つです。

つまり、住宅の供給を守るために移民を絞る政策が、そもそも住宅を建てる移民の職人が足りないという事実を見落としているかもしれない、ということです。移民の数を住宅の完成数に合わせたいなら、建設や職人の技能を持つ移民を減らすのではなく、むしろ積極的に呼び込む必要があるかもしれません。そうしなければ、住宅の目標はかえって遠のく可能性があります。

大工や電気工、配管工として働きたい方は、ビザスポンサー付きの求人一覧で募集中の仕事を探せます。同じテーマでは、オーストラリアの建設業の人手不足と移民制度についての記事や、移民をめぐる議論を技能者の目線で整理した記事も参考にしてください。

よくある質問

住宅の数に合わせた上限は、もう決まったのですか?

いいえ。野党の保守連合が示した案です。どのビザの区分を減らすのかもまだ決まっておらず、政権を取った場合に詰めるとされています。

移民の数は今、増えているのですか?

減っています。純海外移民は2022-23年度の538,000人が最多で、翌年は429,000人、2025年6月までの1年では306,000人でした。

技能移民の道はなくなりますか?

政党も産業界も、技能移民は守るべき部分と考えているようです。ただし、条件や職種リストが変わる可能性はあるため、発表される変更には目を配っておきましょう。

仕事やスポンサーのためにお金を求められたら、どうすればいいですか?

仕事のオファーやスポンサーと引き換えにお金を払うことは、オーストラリアでもニュージーランドでも違法です。ビザについての相談料や移民エージェントの費用は合法ですが、払う相手はオーストラリアなら登録移民エージェント、ニュージーランドなら認可移民アドバイザーに限り、書面の契約を交わして領収書を受け取ってください。ビザの取得を約束する話や、相場より極端に高い費用、個人口座への急な振り込みを求める相手には注意しましょう。

求人への応募にお金はかかりますか?

応募は無料です。職業紹介料もかかりません。求人ごとの条件をよく読んでから応募してください。

まとめ

  • 保守連合は、移民の数を新築住宅の数に合わせる上限案を示しています。
  • 減らすビザの区分はまだ決まっておらず、今は案の段階です。
  • 純海外移民は538,000人から306,000人まで、すでに減ってきています。
  • 産業界は、技能移民の仕組みはほぼ適切だという立場です。
  • 建設の職人が足りないことは、技能を持つ人にとって追い風になりえます。

#技能移民 #オーストラリアで働く #移民政策 #建設業 #職人 #海外就職

続けて読む

すべての記事